ALS記

ALS記

2023年2月13日に診断されて、現在進行中。とりあえず仕事は続けています。進行がとても遅い症例のようで、その状況を記録して発信していこうと考えています。

 ALSになって真っ先に困ったのがメガネを拭けなくなったこと。何とか右手でカバーしてきたのだけど、2週間前ぐらいからそれも困難になってしまった。妻に頼めば喜んでやってくれるのだが、それでは納得がいかず。握って拭くタイプのやつを買ってみた。

 

 

 ペットボトルオープナーもそうだが、道具で何とかカバーできるなら自分で始末したい。何でだろうと考えてみたら「自分がやりたい時に好きにやる自由を失いたくない」という思いがこみ上げてきた。この自由は死守したい。

 

 元々「人に支配されたくないし、人を支配したくない」というのが根本的な人生観としてある。メガネやペットボトルでこの拒否感だとすると、四肢が動かなくなって介護されたら精神が崩壊するかもしれない。他者に全てを支配されるという屈辱感と、介護させることで他者の時間を支配してしまうという罪悪感が同時に襲ってくる。そう考えるとひたすらに恐ろしい。何としてでも身体を動かし続けなければ……。

 点滴でなくて服用になったラジカットはとても便利になったが、手が不自由な状況では以下の点が不安だったりする。

 

  • 中栓を装着する際に瓶が倒れたらゲームオーバー。
  • 蓋を開ける時、蓋はオープナーで滑らないが、瓶部分が滑って開かない。
 これらをクリアするため、妻が紙粘土で土台を作ってくれた。
 
 
 木片が混ざっていてかなり軽い素材なので、装着したまま撹拌したり、逆さに向けてシリンダーを差すのも可能。
 
 
 また、底面に穴を開けてあるので沈殿がなくなったかも確認できる。画像だと見づらいが底には滑り止めのゴム素材が貼ってある。
 
 まだ辛うじて2回目以降の開栓・服用は自力でできているが、もうじきできなくなるかもしれない。その際にこの土台が効力を発揮するだろうと思うと心強い。ひたすらに感謝である。
 

 万世の排骨麺をもう食べれなくなって悲しみにくれる中「次を探そう」と気を取り直して、近所にある『揚州商人』へ。前から排骨麺があるのは知っていたが、どうせ食べるなら万世とスルーしていた。

 

 

 ということで頼んでみたのだが……。外がカリッとしているところは合格なのだが、いかんせん肉の旨味が薄い。万世の排骨は、噛むとぎゅっと圧縮された旨味が口に広がる至福感があったのだが、これはちょっと足りない。「豚肉だな」という感じが出てしまう。まずい訳ではなく、それなりに排骨感はあるのだけれど。何だろうなあ、あの旨味。

 

 同じく万世排骨のしもべである妻によると、復活話もあるらしい。そうなったら行列に並んででも食べようと思った。ラーメンも行列もそんなに好きではないが、こればっかりはやむを得ない。旅はまだ続く。