女王様の特権、スペシャルフード ローヤルゼリー | イタリア発ハチミツづくり 養蜂の世界と日本の田舎暮らし

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サーフィン好きのイタリア人夫とのハチミツづくり、
養蜂の世界と日本の田舎暮らし生活を綴ります。

こんにちは。

今日は、もうひとつのミツバチ産品、ローヤルゼリーについてです。

ローヤルゼリーは、日本でもサプリメントとしてとても人気があるので
ご存知の方は多いと思います。
今は錠剤になっているものがほとんどですが、元はどんなものなのでしょうか。

ローヤルゼリーは白いどろっとしたクリーム状の物で、味は酸味があり
発酵したような臭みが少しあります。
こちらが生のローヤルゼリー↓


その原料は何なのかというと、働き蜂が花粉、ハチミツを体内で分解合成し、
女王蜂の餌として分泌する物資です。

初回に書きましたが、巣の中には女王蜂は一匹、そして働き蜂(メス)
が数万匹います。では、女王蜂はどこから生まれるのでしょうか。

実は女王蜂も働き蜂も元は同じ形、大きさをした幼虫です。
違いは、女王蜂予備軍(2~3匹)だけがローヤルゼリーを与えられ、その他多数の働き蜂は
ハチミツと花粉のみを与えられる、というエサの違いにあります。

ローヤルゼリーを与えられる女王予備軍は、大きくなり、やがて女王蜂になるものが
一匹のみ選ばれ新女王に、その他は悲しいかな、殺されてしまいます。
でも女王蜂の親はもちろん女王蜂。では2匹が同居!??
そこはまた分蜂という面白い行動を書く際に詳しくお知らせします。

巣の中では、女王蜂のみがローヤルゼリーというスーパー栄養価の高い特別食を
一生食べ続ける特権を得ます。
働き蜂の寿命が1か月のところ、女王蜂は4~5年という長寿を得、さらに体の大きさも2~3倍になり、
生涯毎日1000~2000個もの卵を産み続ける、という特殊機能を身につけるのです。


ローヤルゼリーには、たんぱく質が多く、果糖やブドウ糖、脂肪、ビタミン、ミネラルなどが
バランスよく含まれ、
免疫力向上アレルギーの抑制、抗菌作用、コレステロールや中性脂肪の低下、
肝機能の改善
など様々な効果が認められています。

とはいっても、高価なロイヤルゼリー、その理由は採取の現場を見ると納得できます。
何せ、すべてが手作業の虫眼鏡を使うような細かい作業なのです。

ローヤルゼリーの生産は、ハチミツのようなミツバチからのお裾分け、ではなく
ある意味ミツバチをだまして
、異常生産させ、それを人間様が頂く、という方法を取ります。
でもハチ達を殺してしまったりするわけではないので、ご安心を。

働き蜂は、巣の中に女王蜂がいない!と察知すると慌てて新女王蜂を育てる為に
せっせとローヤルゼリーを分泌生産します。この習性を逆手に取り、養蜂家は
巣の一部に女王蜂を隔離、そして、通常よりも6角形の穴が大きい王台と呼ばれる
女王蜂養育用サイズの枠に、生まれたての幼虫たちをお引っ越しさせます。
これ、ピンセットで小さい幼虫を一つずつ・・・です。

こちら作業風景。


これが巣内にセットされると、働き蜂は早く女王蜂予備軍を育てなくては!!と、
一生懸命ローヤルゼリーを作り、この幼虫達に与えます。
そして貯められたローヤルゼリーを人間様が吸い取って、いただくというわけです。
働き蜂にとってはちょっと迷惑なお話?!・・・

ローヤルゼリーは72時間以上経つと幼虫が食べて大きくなっていってしまい、
量が減っていくため、養蜂家は3日ごとに蜂の巣を点検し採取をします。
ローヤルゼリー採取は健康な巣で沢山エサ(花粉、蜜)のある5月~8月の間しかできません。

しかも、1つの巣箱から、1回で採取できるローヤルゼリーはたったの15グラム
3日ごとに3か月続けたとしても、1つの巣箱から1シーズン450グラムです。
いかに貴重かがわかりますね。

私も疲れが溜まったときや調子の悪い時、生ローヤルゼリーをなめたり
錠剤を飲んだりしますが、不思議と元気になります。
やはり驚異のスペシャルフード、女王様の力となる唯一の栄養源だけあります。

ご覧のとおり、工場で大量生産できるものではないので、
あまり安価なものは疑った方が良いでしょう。
規制の緩い米国、中国産のローヤルゼリーには残留抗菌・抗生剤の報告もありますので、
信頼できる製造元のものを選ぶことをお勧めします。

それでは、今日はこの辺で。

次回は、女王蜂率いるミツバチ社会の成り立ちについて、
の予定です。

また来週!

CIAO