雪が降る

 

季節外れの雪が降る

 

夜に家の中

 

ひとりでベッドに座ってる

 

あなたを想う心が雪になって

 

少しずつ降る

 

そして徐々に溶けていく

 

わたしに沁み込んでいくのか

 

それとも水となり流れてしまうのか

 

それはわたしにはわからなかった

 

 

 

大好きなあなた

 

わたしだけが好きと歌ってくれたあなた

 

わたしだけに優しくしてくれたあなた

 

燃えるように熱く抱き合ったあなた

 

あなたは何回も言ってくれた

 

あなたはいつでも言ってくれた

 

あなたは笑顔で泣き顔で怒り顔で言ってくれた

 

あなたは

 

「わたしだけ」

 

って言ってくれた

 

言ってくれた

 

言ってくれた

 

 

それなのに

 

思い出すだけで心が引き裂かれて痛い

 

頭が悲しみや憤りでパンクしそう

 

あんな顔は初めて見た

 

あの人だけに見せてたふやけた顔

 

あの人だけとしてたダサい会話

 

あの人の前だけなんであんなに慌てていたの

 

あの人だけ

 

あの人だけ

 

あの人だけ

 

 

許さない

 

わたしをこれだけ本気にさせておいて

 

わたしを抱きしめておいて

 

わたしをあなたのものにしておいて

 

今さら本気を見つけたなんて

 

今さら本気じゃなかったなんて

 

絶対に許さないから

 

メッセを送る

 

しかたない

 

しかたないよね

 

だってあなたが悪いもの

 

わたしを弄んだあなたが悪いもの

 

隅っこで目立たないようにしてたのに

 

誰の視界にも入らないようにしてたのに

 

少し尖ったものを鞄に入れる

 

からかわれるのが怖いから

 

騙されるのが怖いから

 

涙するのが怖いから

 

それなのになんでこうなっちゃったかな

 

鞄を持つ少し大きめの

 

後から知ったの

 

後で友達が心配しておしえてくれたの

 

あの人はダメだっておしえてくれたの

 

仲間うちの罰ゲームでしかないんだって

 

でも信じちゃった

 

友達は嘘をついてるんだって

 

いつも通りあなたの言葉を信じちゃった

 

たとえ最初はそうでも今は違うって信じちゃった

 

氷を袋に入れてそれも何個か鞄に入れる

 

かわいい服を着て

 

かわいいメイクをして

 

かわいい雑誌を読んで

 

かわいくなったのに

 

髪をまとめて帽子を被りマスクをする

 

あなたのために

 

あなただけのために

 

あなただけしかいらなかったのに

 

あなただけがわたしの世界だったのに

 

あなただけ

 

あなただけ

 

あなただけ

 

 

さぁ家をでよう

 

あなたに会って想いを伝えよう

 

それからどうしようかな

 

あなたとたくさん楽しいことをしよう

 

あなたがわたしの世界からいなくならないように

 

あなたと一緒に旅をしよう

 

そして最後に

 

どこかの森で一緒に寝られたら気持ちいいのかな

 

 

 

玄関のノブに手をかけて

 

外に踏み出した途端

 

最上の輝きを放つ月が見えた

 

瞳を奪われ吸い込まれるような月

 

門の前には人

 

あなたのことを悪く言った友達

 

スマホとにらめっこしてる

 

こっちに気づいて顔を赤らめながら慌てて

 

おろおろした挙句の果てに

 

黙って抱きしめてきた

 

離れらないほど抱きしめてきた

 

離して離して

 

強すぎて息ができない

 

あたたかすぎて息ができない

 

息ができなくて苦しい

 

息が息が

 

苦しくて苦しくて

 

涙が止まらない

 

思わず声がでる

 

息を吸い上げるから声がでる

 

しゃくりあげて泣いてしまう

 

違う泣き声も聞こえてくる

 

なんでこの子も泣いているの

 

わたしを心配してくれたのを

 

わたしは無視したのに

 

わたしは避けてたのに

 

わたしは友達として最低なのに

 

わたしは戻れないって覚悟してたのに

 

なんでまだわたしを愛してくれるの

 

なんでこんなに胸が痛いのに

 

なんでほんの少し嬉しいの

 

ずっとこの時間を手放したくない

 

ごめん

 

ずっとごめんなさい

 

言葉になってたかもわからない

 

震えが止まらない手で

 

思わずぎゅっと抱きしめた

 

しょうがない

 

しょうがないじゃん