青色LEDの開発で有名な中村修二さんが自らの成功の足跡について語った一冊です。

タイトルに非常識とありますが、ここでの常識は『日本人の感覚からすると常識』という意味です。

文中に『日本人は』、『日本は』を主語にした箇所が至るところに目につきます。

つまり日本という狭い島国から脱却して、世界基準に生きろという強いメッセージを伝えたいのでしょう。
ただ中村修二さんも、生まれながらのグローバリゼーションを持っていたタイプではありません。

大手メーカーの内定を蹴り、就職先を当時中小企業だった日亜化学工業に入社したのは、ベンチャーマインドなどではなく、

学生結婚をしていたがために、地元の企業に入ったとのことです。

大手有名メーカーに進んだ友人に対しても、嫉妬をしていたようです。

「同級生たちは、大手一流と呼ばれる企業に次々と就職し、やれ研究発表がどうだ、学会がどうだ、という華やかな会話をよそに、わたしは実験室とは名ばかりの、窓もないバラック小屋で、実験装置の溶接や実験を繰り返す日々でした。
しかも、一から始めた研究は失敗の連続です。試行錯誤の中で、大爆発を起こしては掃除をし、実験に取り掛かってはまた爆発を起こして掃除をする・・・・・・堂々めぐりの生活に、「オレの人生は終ったな」と小さくつぶやいたものです。」

こんな回顧も残しています。

ただそこで腐らず、負けず嫌いの気持ちを持ち続けたことが、はい上がるための原動力になったようです。
どんな苦境に立たされたとしても、絶対に諦めないと決め、悔しさをバネにすること。

これが大事なことです。

今大きな壁にぶつかっている人が読めば、吹っ切るきっかけになる一冊です。
[読了]『座右のニーチェ 突破力が身につく本』齊藤孝著

ニーチェの言葉が栄養ドリンクや日めくりカレンダーのような存在である豪語する齊藤孝さんが、偏愛的にニーチェの言葉(代表作『ツァラトゥストラ』から引用されたものがメイン)を五章にまとめて紹介していき、ニーチェのアフォリズム(箴言)の素晴らしさについて説いた一冊です。

章ごとに中身まとめると、後のようなものです。

第一章 一本の矢になれ
・俗世から距離を置き、他人を嫉まず、自分を愛し、よいライバルになる友人を見つけ、向上心を持ちなさい。


第二章 一瞬を生きろ
・下積みを重ね研鑽を積み、ぼんやりと生きず、偶然を認めず全ては必然であり、勝負時に一気呵成に畳みかけろ

第三章 肉体の声を聞け
・精神よりも身体は自分を知っている。だから、欲望を精神では断ち切ることはできないが、大地から力を借りそれらをうまく利用できれば創造的な意欲を生める

第四章 過剰を贈れ
・自分が嫌というほど学んできた溢れんばかりの知恵を、見返りを期待することなく他人に注いでやれ

第五章 クリエイティブに生きろ
・音楽や芸術を尊ぶことで力が増す。増した力を利用し、意志を持ち、新たな開拓地を切り開け

哲学的思想だけあり、歴史を越えて、今でも苔むすことない考えがびっしりと詰まっています。

一番印象に残ったのはニーチェの言葉は、

「いっさいの書かれたもののうち、わたしはただ、血をもって書かれたもののみを愛する・・・・・・血と寸鉄の言で書く者は、読まれることを欲しない。そらんじれることを欲する」

このアフォリズムについての齊藤孝さん流の解説文が、

「人は普通、ただことばを聞いたり読んだりすれば理解できると思っている。ところが、読んだ一冊から何か引用してみてくれというと、ほとんどの人は一行もそらんじることもできない。ニーチェは、それは読書をする怠け者だ、そらんじることもできないでわかったようになるなと叱る」

もっと読んでいる以上、今後は引用します。

ニーチェの思想に触れてみたい人は、一読を。

これには心に響く言葉が誰にでもあるはず。
何も役に立たないと思われがちな哲学であるが、使い方次第で実用的になる。そのスキルの一端であるクリティカルシンキングの手法について学ぶことができる一冊です。

クリティカルシンキングの意味は、単なる批判的な思考というものではありません。

「ある意味を鵜呑みにせずよく吟味することを「批判」という。したがって、結論てして同意する場合でも、その意見が本当に筋が通っているのかよく考えたうえで同意するのであれば、批判的といってよい。この意味における批判的な思考法がクリティカルシンキングである」

別の言葉で表すなら、論理的な思考--ロジカルシンキングですね。

感情や感覚ではなく、証拠や事実を組み立ていき、それらに基づた自分の主張を作りだすというものです。

ただ文中では、クリティカルシンキング(とくに哲学的クリティカルシンキング)で統一しています。

それは疑うという意味を強調したいからでしょう。


「疑う習慣を持つことはクリティカルシンキングのどんな技術論よりも大事だといってもよい。」

クリティカルシンキングの基本は三つです。

①議論の明確化
主張はなんなのか

②前提の検討
理由となる主張が正しいのか

③推論の検討
前提と結論にはつながりがあるのか

これらを順番に行うものです。

このテクニックを用いると、科学を相手にしても反論をできるそうです。(ある生物学者の進化論について、異論を唱えています)

ただし、伊勢田さんはなんでもクリティカルシンキングをやって、疑えとは言ってません。

クリティカルシンキングを身につけたうえで、「ほどよい懐疑主義」を目指しなさいと主張しています。

懐疑主義とは「不確かなものについては判断を保留する態度」です。

つまり、なんでもかんでも答えを導くのではく、正しいと間違いないといえることだけいいましょうということですね。

「きちんと判断しようとするなら、クリティカルシンキングが必要だ」というスタンスで取り組むのがきっとベスト。

哲学的思考をゼロから学びたい人は、一読してみては。