「知識を吸収したものが賢人で、忘却するものは愚者だ」、という考えは現代社会が作り出した誤りで、「忘れることはコンピュータにはできず、実に人間的で素晴らしい」と忘却積極的に推奨するエッセイです。

知識を記憶できる人は優秀であるという偏見が蔓延しています。

ただ、大量の知識を持った人だから、独自の思考ができるのか?

そんな疑問に、外山滋比古さんは辿り着いた。

子供は知識はないが、その不足を補えるだけの考え抜くという力を有している。
それゆえ余計な知識がない方が、自らの頭を回転させるようになるので、知識を忘れなさいと説いています。

特に現代社会は情報化で、無限大とも思える知識がいつどこでも捕まえることができ、知的メタボリック症候群とも呼ぶべき人たちで溢れかえっています。

彼らは非積極的でも膨大な量がやってくるため、知識を消化できずに脳に溜め込み、オーバーロードを起こし気味です。

乗り越えるための有効な手段は、「忘却力を高める」ことです。

「忘却はゴミ出しに似ている」

つまり、忘却は置場に困った知識を外に出す整理を役割を担っているのです。

忘れることで、頭をすっきりさせて、思考するスペースを作り出せるのです。

そして、忘れることはなにより個性的であるとしています。

知識は、人によって異なっていません。

しかし、忘却は人によって異なるのです。

同じ教育を受けていても覚えた内容は違うこともあります。また同じ体験をしていても、いざ話を聞いたら、全く違う印象を持っていることもあります。

コンピュータと違い、人にはそれぞれのフィルターを持っているため忘れ方も独自性がああります。

だから忘却は人間的で、使い方次第でコンピュータにも劣らない能力になるのです。

知識ばかり追い求めず、あえて忘れることで、新しいものが開けることがある。
そんな価値観を教えてくれる一冊です。