テレビ朝日の看板番組「報道ステーション」が揺れています。

 

 ヤラセや政府に対する報道姿勢が攻撃されていると言った理由ではありません。今、日本列島で大流行の新型コロナウイルスの荒波を真正面から受けているからです。

 

 写真の富川悠太アナウンサーが「報道ステーション」のMCを務めていることは多くの皆さんが認知していると思います。そして彼が新型コロナに感染したことも。

 

 “報道ステーションのメイン司会まで新型コロナウイルスに感染したのか!?"

 

 きっと多くの方が驚いたと思います。

 しかし、新型コロナウイルスの脅威は単に1人の番組出演者を“毒牙"にかけたのでは無く、番組のチーフプロデューサーとスタッフ一人の体内にも深く静かに侵入していたのです。

 

 私が知っている番組スタッフの部屋やブロックは正に<3密>そのものの様な空間で、一人がインフルエンザにかかればあっと言う間に仲間のスタッフにも伝染するような空間でもありました。

 

 テレビ番組を製作するスタッフ達は、実は、すぐそこに迫る脅威を仕事の忙しさにかまけ、あるいは<まさか自分たちの身の周りに迫る事は無いだろう!>という根拠レスな自信にとらわれていたのかもしれません。

 

 

 

(デイリー 4/15 22:58配信)

『テレビ朝日は15日、「報道ステーション」のチーフプロデューサーとスタッフの計2人が新型コロナウイルスに感染した、と同番組内で発表した。ともに40代男性。スタッフはフリーアナウンサー・赤江珠緒(45)の夫で、チーフディレクター。また、メインキャスターの富川悠太アナ(43)が11日夜に感染が判明するまでの経緯を公表。富川アナは「発熱を軽視してしまい、上司や会社に的確に報告せず、出演を続けたことを深くお詫びします」と謝罪のコメントを発表した。【以下、富川アナのコメント全文】

 

番組で繰り返し感染予防を呼び掛けていた立場にもかかわらず、このような事態を招き、視聴者の皆様、関係者の皆様に大変なご迷惑をおかけしました。申し訳ございません。

 

すぐに平熱になったことから、発熱を軽視してしまい、上司や会社に的確に報告せず、出演を続けたことを深く反省しています。

 

視聴者の皆様からは、多数のお叱りの電話やメールを会社にいただいていると聞いています。これらを真摯に受け止めたいと思っております。

 

なお、3月下旬から大人数で飲食する機会もなく、外部での取材もなかったので、感染経路については思い当たることがありません』

 

 

 

 富川アナウンサーのコメントを読む限り、報ステという番組のスタッフ達に広がるミニ版の感染クラスター、その感染源が彼にあるようには思えません。

 むしろ、この業病の取材をしていたディレクター達を束ねるチーフディレクターやチーフプロデューサーの方が富川アナにうつしていった可能性の方が近いのではないかと思われます。

 

 しかし、今、感染源を明らかにしようとするのは意味がないでしょう。

 と言うのも、既に巷では感染経路不明の患者が溢れ、何処にいても、誰といても新型コロナウイルスに汚染される可能性がある訳です。

 従って、分かりにくい感染源をああだこうだと追いかけるよりも、今も<そこにある危機>をどの様に除いていくかと言う事が喫緊の課題となる筈です。

 

 それは、外部スタッフが多く集まるスタッフデスクや番組の専用ルームなどです。

 

 スタッフ達は限られた人数でロケに出たり、編集をしたり、テロップ文字をチエックしたりコンプライアンスに注意を払っています。そうした空間は決して環境の良い場所とは概ね言えません。

 密閉され、密集し、密接に議論を重ねたりする場の代名詞と言っても良いのがスタッフルームや専用デスクではないかと思います。

 

 つまり、今や個人のデスクを廃して多くの者が供用したりするデスク使用のあり方が浸透し、個人デスクを持つ社員スタッフとは別に誰が何処を触ったり分からない道具と空間がスタッフルームやスタッフデスクとなっています。

 これは報ステの様なニューススタッフに限らず、むしろバラエティやワイドショーなどの番組を創っている制作局や社会情報局などのスタッフ達の方がより厳しい環境にあることが多い様に思えます。

 

 つまり、テレビ局にとってあらゆる番組を製作するスタッフ達こそ常に新型コロナウイルスの<毒牙>に狙われているのでは無いかと危惧します。

 

 今回はテレビ朝日の報道ステーションから新型コロナウイルス感染の情報が飛び出しましたが、他局の報道、バラエティ、社会情報などのセクションから同じように感染伝播されたスタッフ達が発見されることでしょう。

 

 そうなれば、即、テレビ番組の脅威となり、発表する新たなコンテンツも品切れ状態となる可能性が高く、まさしくテレビ局にとっては想定外の大ピンチを迎える時代となるのではないでしょうか。

 

 私はそうなる可能性は極めて高いと思います。