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 お盆の真っ最中ですね。
 今日の記事は昨日、全国から注目された二つの出来事と行政の対応について私見を書きたいと思います。

 上の写真は大阪府富田林警察署と、徳島で行われた阿波踊りの最大の見せ場「総踊り」を写したものです。
 最初の注目は富田林署で発生した未だ曾て無いほど弛んだ事件です。

 なんと、強姦未遂容疑や強盗致傷容疑で逮捕していた男が警察署内から逃走したのを1時間半以上も気付かずにいたのです。
 既に昨日は全てのメディアがこの事件を報じていますし、今以てこの容疑者は逃走したままですから、附近の住民は気が休まらないでしょう。

 そもそも逮捕した男が、しかもどんなにしおらしい態度をとっていたにしても、男が犯した罪は多くの女性を傷つけ、生涯にわたって心に傷をつけた許し難い重罪犯です。
 その容疑者が署内で弁護士と二人きりで接見することになりました。
 弁護士と容疑者が二人きりで密室状態の部屋で相談するのは人権上当然ですが、彼を接見場に連行した署員は、いつ、どのようにしてこの重罪犯を留置場に戻すつもりでいたんでしょうか。

 結果として接見は30分ほどで済み、以後1時間45分の間、この容疑者は接見場に一人で取り残され、逃げる考えを懐くに至り、実行したのです。
 この間、署内にいた警察官達は、特にこの男を接見場に連れて行った署員は完全にこの男の存在を失念していたようです。

 そうでなければ、2時間以上も弁護士と接見するする事が日常的だったのかということになるでしょう。事実は重罪犯の容疑者が接見室にいる事を忘れていたのです。

 その下地は警察署の者達が手を加えたブザーに現れています。

 接見室から弁護士が出るとブザーが鳴る仕組みを作ってあるのに、恐らく署員達はその音がうるさいと考えたのでしょう、ブザーの電池を抜いていたと言います。

 とすれば、普段から接見がいつ終わったかは誰が確認していたんでしょうか?

 弁護士の中には<接見が終わった>と報告する者もいれば、黙ってそのまま帰る弁護士もいたと言います。そうした際の署内のマニュアルは徹底していたんでしょうか?

 更に容疑者が対面する接見室に逃げるために押し広げたアクリル板の強度はどの様にして確認していたんでしょうか?

 取り返しのつかない不祥事に対する原因は一切分かっていません。

 富田林署は前代未聞の不祥事をしでかしてしまったために、きっとパニック状態にあると思われ、一切の情報を未発表のままです。
 住民を不安に陥れ、重罪犯人を逃がしてしまった原因究明は逮捕後に説明するという心づもりなのでしょうが、しでかした不祥事の質を見た時に世間は警察の<隠蔽体質>を強く疑っているはずです。

 更に、犯人が逃走してから住民への注意喚起のメールを送信したのは9時間後だと言います。
 しかもその対応について警察関係者は間違ってはいないと強弁しているとも言います。

 住民達にしてみれば<冗談じゃ無い!>と起こりたいに違いありません。

 捜査員が二人一組になってあらゆる場所を捜査している姿を住民に晒しているのです。そんな様子を見て住民が不安にならないはずが無いでしょう。
 何を置いても住民の安全・安心を図るのが警察の義務ですし、富田林市市長のしなければならない義務だった筈です。

 私には住民の誰かが言っていた<対応がトロすぎる>としか思えません。

 警察署から、許し難い犯罪を冒した若い男が逃げたのです。
 逃走中に追い込まれたこの男が自棄になって犯罪を重ねる可能性も相当に高いです。
 何故、大阪府警本部と富田林署の責任者はすぐにも謝罪を行い、犯人が逃走した後の対応について住民に詳しい説明をしないのか?

 真っ先にすべきは住民の不安な心を鎮めることであり、その為に自分達がとっている対応策を説明することでしょう。

 幾ら3000人体制で操作に当たっていると言ったところで、愛媛県今治市の刑務所から逃げた模範囚が山に隠れ長期間逮捕されなかったことを思い出せば逮捕までにどれだけ時間がかかるか分かりません。

 富田林警察署の全署員が昼も夜も、常に犯罪者に対して緊張した心構えでいたのか?
 拘留中の容疑者が逃げる可能性はないかと言うことを日常的に点検していたか?
 容疑者を接見室に入れ、戻す決まり事はキチンと守られていたか?
 そもそも、署員達に日常の心構えを教えていたのか?
 当直体制の確認はしたか?
 富田林警察署を抱え、地方自治体の地元トップである富田林市長はこの不祥事を受けどのようにして住民達の不安を取り除くべきか、どうやったら安心させることが出来るかをキチンと考え対応しているか?

 全く、考えられない様な不祥事です。

 次に私が昨日報道された出来事を見て疑問を懐いたのは徳島市の「阿波踊り」に対する市長の言動です。

 彼は、累積赤字が4億になった「阿波踊り」を金銭的に取り戻すため、今年のメインイベントである<総踊り>を1箇所から4箇所に分散し、有料会場を増やす事で見物料収入を増やすことを考え、決定しました。
 ところが、住民達の多くは<総踊り>は1箇所で連なって壮大に見せるからこそ阿波踊りの醍醐味があり、しかも全国や海外からも観光客が来るのだと譲らず、結果的に市長の分散決行案に反対して無料で昨夜<総踊り>を行ったのです。

 市長は反対の理由を<事故が起きたらどうするのか!?><1千人以上の人が一度にドッと異動する時に小さな子が危ない!>などと述べ、安全面から自分は反対しているとカメラの前で強調したのです。

 私は彼の主張は甚だ尤もなことに聞こえはするが、反対の為の反対の様に感じました。

 何故なら、4会場で分散決行することで事故が無くなるかも知れないけれど、入場料はむしろ減少して市長自らが阿波踊り立て直しの為に考えた<総踊り廃止>の結果には結びつかない事が予想されていたからです。

 更に事故の発生を恐れて警備費が嵩むというのであれば、実は全国各地の祭りで行われている様に、住民有志が自治的に自警団を結成し、当日の警備を担当すれば良いですし、安全確保の為の大変な作業は行政が実行しなければならない義務なのです。

 そもそも、累積赤字の原因が本当に警備費が重なったことだけなのでしょうか?

 祭りは住民が日常の厳しい労働や苦労から年に一度心の重荷を解放するために行います。
 あるいは、宗教的な理由に上記の日常的な思いを重ねて行っているものです。
 当然の事ながらその仕切りは住民自治で行うべきであり、その祭りで事故が起こるのを防ぐ為に警備をするというのは行政側の日常業務である筈なのです。

 そして、仮に警備費が高額に高騰して祭りに支障を来す様になったとすれば、その警備費の内訳をもっと詳細に報告し、減らす工夫をするのが住民の代表である市長の仕事であって、祭りの形を変えて自分のやりやすい様に伝統を崩す者は市長としての資格に問題があるのでは無いかと私は考えます。

 どうすれば、費用を減らすことが出来るか?
 減少を続ける寄付金を増やすにはどうしたらよいか?
 
 市長や市側はもっともっと徳島市のブランド全体を検討し、累積赤字を増やしてきた観光協会の怠慢と無責任振りを解明し、赤字にならない具体的な改革案を提示すべきだったと思います。
 ところが、昨日までの報道に映る市長は自分が考えた分散案こそが安全だと言い張るばかり。
 結果はどうだったのか?事故はあったのか?予算はどうだったのか?

 反市長派の住民達は<総踊り>を終えた結果を報告し、市長の主張する予算面での矛盾点があればその事を全国に明らかにし、やはり予算的に大変だとすれば、どうすれば今後も祭りの伝統を変えること無く維持できるかを行政と共に住民全体で議論すべきでしょう。

 権力で抑えられないのが、冠婚葬祭だと私は思います。

 勘違いした行政マンが己の持つチカラの行使を誤ったり、権力を持っている己の義務を見失った時、国は大きな災禍に国民を強制的に引きずっていく事態が起こるのです。

 お盆の真っ最中、草場の影から先人達の嘆きが聞こえてきます。