僕は僕の会社のスタッフが運転する車でオペラシティに向かう途中、
オペラシティの支配人に電話をする。
場内を文字通りにフラフラとよろめくように歩く妹を警備員が
支えるように声をかけたという。それを妹がセクハラを受けたと大騒ぎ。
その後、体調が悪い、と言って医務室に保護されるも、何度も勝手に
その場から立ち去ろうとし、それを止める度
「あなたたちを訴えますよ!」
「裁判にしてもいいんですか!?」
と無茶苦茶を言っているらしい。
何よりも僕を失望させたのは、妹はすでに逃亡し、オペラシティにはいない、
ということだった。
「どこに向かったか、分かりませんよね?」
分かるわけない。無茶苦茶を言う人の行く先なんて無茶苦茶に決まってる。
すっかり目的を失った僕は実家に電話をかけ、とりあえず妹のマンションの前で
父母と落ち合うことにする。
お金で解決できる話ではないが、僕の会社のスタッフにはアルバイトということに
してもらい引き続き協力を仰ぐ。3人とも気持ちよく引き受けてくれた。
妹のマンションの前に来るとすでに父母が立っていた。
「遅い!」
と父に怒られる。遅いのは当たり前だ。妹のマンションは父母の住む実家から
2駅の近さだ。僕は都内からオペラシティを経由しかかって、ここにいる。
「おい、君!コンビニで飲み物を買ってきてくれ!」
なぜ父は初対面の僕の会社のスタッフにこうも簡単に命令するのか?
父から見たらまず僕が格下である。格下の会社に勤めるスタッフはさらに格下と
いうことになる。格下の格下のスタッフは父から金を受け取りコンビニへと走る。
父は明らかに不機嫌だった。
「俺は忙しいんだ!」
この人は僕たちが酢豚を放り出してここにいることを分かっていない。
もしくは僕たちの仕事と父の仕事ではレベルが違うと思っているかの
どちらかだ。僕はともかく僕の会社のスタッフに失礼だ。
この場にいる人間で機嫌の良い人間なんていない。
「おい。腹が減ったからあそこのびっくりドンキーに行って来るぞ!」
父の発言がびっくりドンキーだ。妹も無茶苦茶だが父もある意味無茶苦茶だ。
「あんた、あいつの父親だよね?」
とうとう僕がキレた。