「おいおい、酢豚はダメで、なんでハンバーグだと許されるんだよ!」

「そもそも娘とハンバーグはどっちが大事なんだよ!」

 

「何言ってんだ!そういう問題ではない」

 

僕が酢豚で思っていたコメントが父から発せられた。

繰り返すが僕の酢豚は仕事だ。父は腹がすいたからハンバーグを食べたいと言う。

 

「ちょっと自分勝手すぎないか!?」

「自分勝手じゃない。皆で食べようと言ってるんだよ!」

 

そういう問題ではない、とはこのことだ。

この人は何のためにここにいるんだろう?父親として絶対いなくてはならないと思うが

もう帰ってほしいとも思う。時として父と僕の会話は噛み合ないことがある。

 

結局びっくりドンキーで今、このタイミングでハンバーグを食べたいのは

父だけだということが判明し、父は渋々諦める。

 

僕たちは17時頃、妹のマンションに着いたが2時間経っても

妹が帰ってくる気配はない。

 

もっとも我慢ができない、せっかちで、堪え性のない、辛抱という言葉が

辞書にない、落ち着きのない、持久力、耐久性、ともに欠けた人間が口を開いた。

 

「俺は20時には帰るぞ!明日、重要な会議があるんだ!こんなの待ってられるか!」

 

まったく無関係の僕の会社のスタッフがいる前でこんなことを言う父って

いったい何なんだろう?

 

「アンタ ホントニ ダメダワ」

 

僕の心にこんなテロップが浮かんだが、出しはしなかった。

 

そして20時。父は本当に帰っていった。

 

「あとはよろしく!」

 

何をよろしくされたのか?これから起こることが想像できないので

よろしくされた内容も分からない。こういう父の性格が僕の会社のスタッフに

曝されていることに疲労感を覚えるが、一方で役に立つどころか、

みんなのテンションも下げかねないので帰ってくれて少しホッとする。

 

しかし妹はいっこうに現れず、時間だけが過ぎていく。