母から連絡が入る。ここ数年、母から電話が入るときは必ず妹に何かあったときだ。

 

「梶原さんのお母さんから電話があった」

 

梶原さんとは妹が前回入院したときに知り合った妹の友人で今回の入院の直前に

「様子がおかしい」と母に連絡してくれた、ある意味、妹の今を良く知る、妹の

現状の理解者でもある。

 

「ブログで梶原さんの誹謗中傷をしているらしいの」

 

なぜ入院中の妹がブログを更新できるのか?入院時に彼女は

パソコンも携帯も持っていない。僕が持っている。妹が徘徊して

犬のふんのように落としまくった所有物を後日、僕が警察に引き取りに

いったからだ。稼働できる訳がないのになぜか妹のブログが更新され

あろうことか実名で、友人を、これまた実名で非難しているという。

 

慌てて妹のブログを見る。

 

「私はいわれもなく梶原由子と兄によって無理矢理入院させられました。

 彼女は友人のフリをし私に近づき私をハメたのです。兄に待ち伏せをさせ

 私が入院するようしむけたのです」

 

いいがかりも甚だしい。そこには僕も名指しされており、傷つかないわけでも

なかったが、梶原さんのほうが問題は深刻だった。母が言う。

 

「梶原さんがブログを見てだいぶ落ち込んだらしいのよ。

 体調も悪くなっていってるらしいの」

 

梶原さんは妹が入院中に知り合った友人だ。つまり彼女もなんらかの

問題を抱えていた。

 

なぜブログが更新されているのか謎だが、まずはこの実名によるブログで

実名で非難されている誹謗中傷をなんとかしなければならない。

 

母には当然無理な作業だ。このブログを消去する作業は必然的に

僕の仕事になった。

 

妹になりすまし妹のブログに潜入を試みたが

ほぼ無理なことを引き受けてしまったことにすぐ気がついた。

 

4桁の暗証番号…。

 

計算違いでなければ10000通りある。