自称、妹の従姉妹の山崎かなこさんの携帯に連絡を入れる。
しかし何度かけても出ない。以前、一度話したことがあるが
妹の身を真剣に案じてくれている素直で真面目な女子高生といった印象だった。
埒があかないから、母にサイトウ君の連絡先を聞き、サイトウ君の携帯に
連絡を入れる。サイトウ君はすぐ電話に出た。
すぐ事情が判明した。先に見舞いに行った山崎かなこさんから連絡をもらい、
妹が来て欲しい、とサイトウ君に言うものだから、2人は連れ立って妹の
見舞いに行った。偽名は妹の指示だったという。
やはりそこで妹は2人に自分がこの病院に入れられたのは梶原さんの
謀略によるものであり、それを実行に移したのが兄であると悪態をついた。
妹曰く、母は年老いて動くことすらままならず、兄のやりたい放題なのだ、と。
時折、妹を刺し殺したい。
都合良く母を連れ回し、その事実を知らない人には母は年老いて
身動きもままならない、と手前勝手な理屈をこねくり回す。
このねつ造された理屈から妹は
「私は病院に閉じ込められてしまっているから何も主張できない。
あなたたち2人に私の命運はかかっている!」
こうして見舞いにのこのこ訪れたフクヤマハルさんとタジマハルさんによって
妹のブログが更新された。
2人の共同作業だが2人のスタンスは微妙に違うように思える。
サイトウ君はよく言えば温厚で優しく従順だ。悪く言えば、妹に逆らうことが
出来ず、はいはい言うことを聞いているだけだ。
「あなたの行為がアカの他人をどれだけ傷つけたか、分かりますか?
僕のことを信じてくれなくてもいいです。しかし梶原さんは妹が
前回の入院でであった友人です。その回復に向かっていた人を
再度具合を悪くして、あなたはどういう気分ですか?」
僕がそう言うとサイトウ君は電話先で消え入るような声で「すいません」と
言った。
はいはい言うことを聞く人間なので、はいはい言うことを聞くような状況にならぬよう
入院中の見舞いを遠慮してもらうことにした。
問題は山崎かなこさんだ。彼女は年も若く、妹の言うことを信じ切っていたので
妹の主張を、理不尽な許されざる暴挙が目の前で行われている、と捉えた。
僕の電話にでないのも妹の指示であろう。
しかしこうして手をこまねいている間にも、何か思いもつかないような手を
妹がうちかねない。
僕はかって山崎かなこさんと話したときお宅の連絡先も聞いていたのを
思い出した。