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著名な作家、高村薫氏の作品、『照柿』です


いわゆる「合田刑事物」の2作目、ちょうど舞台が夏なのと、

氏の作品では私の一番のお気に入りなのでご紹介です




[壁]・_・)ノ ♪


内容は非常に簡単に書くと

「悶々鬱々、ストレス爆発寸前の中間管理職の男が犯した殺人と、

男の愛人と、あるきっかけで愛人に惚れた男が子供の頃に親友であった刑事」

・・・・・の話です


ε- ( ̄、 ̄A) フゥー


男は何が「悶々鬱々」なのかというと・・・

 父親と同じく芸術家を目指したが挫折したが諦めきれない

 仕事で品質管理と納期管理に追いまくられている

 カミサン、子供ともギクシャクし、家庭に居場所が無い

などなど・・・




(; ̄ー ̄)...

ヒトゴト、絵空事ではない・・愛人いないけど(自爆)




殺人を犯したのも

 どうしようもない人生を送ったが、子供の頃は憧れだった

 父親とその作品をこき下ろした画商を発作的に殺した

というもの


愛憎入り混じる動機が哀しいですね・・・


この男の抱えるあらゆる「焦燥感」を救済する愛人は

自分、人生に対して「諦観」を抱え、

愛人に岡惚れする合田刑事も自分の居場所に苦しんでいます


話が進むにつれ臨界点に向かっていく、

この3者3様の「焦燥感」、「切迫感」が私を引き付けて止みません


本なので結末は書きませんが

「頂点に至って3人とも破滅」します・・・




ラストに泣き崩れる男が哀しく、殺人犯なのに切ないです・・・


「合田刑事物」はシリーズ前作『マークスの山』、

シリーズ後作『レディジョーカー』は映画化されましたが、

本作は私の知る限りではNHKでスペシャルドラマ化されただけです


合田刑事には三浦友和、男には野口五郎、愛人には田中裕子

という配役でしたがいずれも好演、

特に野口五郎のダメ男振りは素晴らしかったです

合田役としても私は”三浦・合田刑事”が今もベストです

是非DVD化して頂きたいところですが・・・




機会があれば、分厚いですけど、是非読んで頂きたい作品です




ちなみに「照柿」とは熟した柿の実の色のこと、

”照柿色した炎”というように使うんだそうです


※高村作品の場合、長編文庫は単行本版の”リミックス”となり、

 オリジナルとは内容が異なりますのでご注意下さい


ヾ(=・ω・=)o☆バイバイ☆ヾ(=・ω・=)o




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