今から約三年前、札幌から一時間くらいの田舎町で、交通事故によりオレの元カノのRが死んだ。
その吉報はオレの後輩のJから届いた。正直、オレは爆笑寸前だったのだがその後輩がオレの嫌いな熱血君タイプだったのでオレは笑いをこらえた。「葬式に来ない?」と言われたが行くわけ無いだろう。はっきり言って元カノなんてのは他人なのだ。他人の葬式にいちいち顔を出してちゃ時間がいくらあっても足りない。オレがもし死んだとして、元カノなんか葬式に来てほしくないし、死んだ後のことなど興味も無い。霊感だとか死後の世界を信じる奴は新興宗教や占いにだまされる可能性が高い。今の詐欺と言うのはそれほど巧妙なのだ。新興宗教や占いに騙されたことに気づいた時にはもう遅し。金も家も無くなり警察に泣きついたところで、相手にもされないだろう。
その熱血君とは二年前に喧嘩してそれっきりだ。オレは男女問わず熱いやつとは合わないのだ。
人は裏切るように出来ているということを普通に生きてれば12歳くらいで気づくものだ。
その熱血君との喧嘩は朝方のニュークラブにて起きた。オレは親友のMとクラブにいたのだが、熱血君の彼女から電話が来た。その女いわく、Jが店で暴れて大変だから止めにきてくれとのこと。Jは店で黒服相手に「ケツモチ呼べ」といきがっていた。ヤクザでもないのに。
Jは親父狩りでパクラれ教護院で育っていたので腕っ節は強い。
オレはとりあえず「もう帰ろう」と言ったのだが、Jは「関係ないいだろ!」と突っぱねてきやがった。しかも親友のMに暴言まで吐きやがった。それから外に出てオレが先に手を出したのだが、勝ち目はないことを知っていたのですぐに警察を呼びJは警察に連行。連行されるJにオレは「お前はうわべの友達だよ」といった。友情に熱いJは泣いていた。
しかしJに二万円貸していたオレはここで飛ばれちゃ困るので、その彼女に「お前の彼氏、お前のこと遊びって言ってたよ、お前がオレを呼んでこんなことになったんだから代わりに金返せよ」と言った。
しかしこのクソ女、金が無かったのでオレはJの実家の番号を聞きだした。そして、Jの母親に「あなたの息子さん、昨日飲み屋で暴れてパクラれましたよ、僕も暴行されてこれから病院行くんすよ、それと息子さんに五万円貸してたんですがあなたも親なら立て替えてくれません?」と言った。
しかしJの母親も金がなかった。ただひたすら謝り続けるその母親にオレは「親子そろってゴミ以下だな」と優しい言葉をかけて電話を切った。
数日後、釈放されたJから電話が。「本当にごめん、うわべってホント?」と聞いてきたので、オレは「ホントに決まってるじゃん、とりあえず金返せよ」と言ったらオラついてきたので、「お前がオレをやるのは勝手だが、そうなったらオレはお前の馬鹿な彼女とお前のお母さんが大変な目にあうよ」と言った。
その数時間後、やつが二万円に慰謝料をもってオレのところにきたことはいうまでもない。
ちなみに本当の親友でもあるTからもRが死んだという報告が来た。
Tは大爆笑しながら「おい、R死んだぞ」と言った。オレとTは、Rの家を溜まり場にしていたことがあるのだが、二人とも電話で大笑いした。
オレ達にとって不幸依存症の馬鹿女が死んだなんてのは笑い話なのだ。
Tはこんなこともいっていた。「J、葬式に行くらしいしょ?ホント馬鹿だよなー」と。
スポーツなどに熱くなる熱血君にはたどりつけぬ境地なのだ。