(1)作文は小説やエッセーを書く

 

作文っていったい何だ?

 

作文を定義するとなると、これがまた難しい。

 

ましてやその書き方を教えるとなると、いったいどこから手をつけていいものやら。

 

小論文は塾や高校で習ったことがあるけれど、作文となると、小学校以来という人が大半ではないだろうか。

 

しかも、日藝の作文は小学校の作文をは当然とは違う。

 

作文は小説かエッセーを書くこと。

 

何を書くかは、受験生の皆さんの自由だ。

 

この講座では、どう書くかにフォーカスを絞って解説を進めてゆきたい。

 

(2)漱石の『猫』が代表例

 

小論文と作文の違いについては、下の記事を参考にしてもらいたい。

 

 

今回は、「視点を変える」という方法について解説を加えてゆく。

 

ものの見方、見え方はちょっと視点を変えるだけで、違って見える。

 

自分から見た友人Aとの関係と、友人Aから見た自分との関係は、微妙にというか、相当異なる。

 

私からは、親友と思っていたAが、実はAにしてみれば、仕方なく私と付き合っていた、などということがわかって、ショックを受けたなどということがよくある。

 

こうしたズレを自分目線と相手目線で書き分けることで、自身の間違った思い込みが浮き彫りにされる。

 

視点をずらす手法の代表例は夏目漱石の『吾輩は猫である』に顕著に示されている。

 

猫目線から見た人間の面白さ、おかしさが文豪の手によって遺憾なく表現されている。

 

こうした、視点を変える方法は明治の昔からあった。

 

 

(3)金子みすゞの詩から考える

 

このような視点の転換は詩でも為される。

 

次に紹介する詩は金子みすゞの代表作である。

 

「大漁」金子みすゞ

 

大漁

 

朝焼小焼だ

大漁だ

大羽鰮の

大漁だ。

 

浜はまつりの

ようだけど

海のなかでは

何万の

鰮のとむらい

するだろう。

 

「金子みすゞ 童謡全集」(JULA 出版局)

 

人間(漁師)目線では、大羽鰮(おおばいわし)=マイワシの一種が大漁で祭りの気分で高揚している。

 

だが、海の中の魚(イワシ)目線で見れば、これは大量死であり、大量殺害(ジェノサイド)以外の何ものでもない。

 

魚目線からは、このまつりは葬祭(葬式)になる。

 

この視点のギャップがこの詩の特徴であり、大きな魅力となっている。

 

日藝の作文では、こうした視点を変えて書くことで、今まで見てきた世界とはまったく異なる世界が展開する。

 

次章では、過去問を使って、視点の交換の具体例を提示してみたい。

 

 

 

(4)「未知の生物が登場する話」日本大学芸術学部文芸学科A方式(第1期)2022年

 

解答例

 

 にわかに空が暗くなった。雲がかかったのではない。影――太陽を覆い隠す大きな影が空を覆った。

 

にゅうっ。巨大な手が空から降りてきた。私の胴体をその手が掴むと、私は上空に持ち上げられた。

 

ぬめっ。胴の回りに少し湿気を帯びた(てのひら)の生温かい感触がする。地面に叩きつけられる。そう思うと震えが止まらなくなった。

 

しかし、その手はゆっくりと私を巨大な太ももに落とすと、もう片方の手が私の頭に伸びてきた。掌で私の頭を包み込むようにする。

 

 しばらくすると、大きな大きな顔が近づいてきた。大きく口を開けている。爛れたような赤い舌に、真っ赤な、血の色をした口腔の奥が見える。その口が私の上に迫ってくる。

 

 食われる。

 

 思わず目を瞑った。

 

 数分が数時間のように思えた。

 

3分経過した。何事もない。ゆっくりと目を開けた。

 

それは見たことがない生物だった。池か沼のような、少し潤んだ2つの大きな目と山岳のように厚く盛り上がった鼻、そして何かの生き物のように微動する奇怪な唇を持ったそれは、今まで目にしたことがない生物だった。

 

そやつが私の顔の前に気色の悪い顔を近づけて薄笑いを浮かべている。その生物と目が合った瞬間、思わず。失禁した。

 

 

 

 

 初めての経験だった。

 

 「動物と触れ合おう」のコーナーで、午後1時からの会に参加した。

 

 私はマーブル模様のそれを手に取った。

 

 膝の上に乗せると、小さな生き物はブルブルと震えている。

 

 「怖くなんかないよ。」そう言いながら、顔を寄せると、膝に冷たい感触が起こった。

 

「やだー。このモルモット、おしっこしてる。」そう言うと私はお母さんに笑顔を向けた。

 

(5)解説

 

このように、小動物(モルモット)目線で人間を見ることで、そこに未知の巨大生物を発見することができる。

 

視点の転換は思わぬドラマや物語へと導いてくれる。

 

今回は「視点を変える」というテーマで日藝の作文の攻略法を解説しました。

 

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皆さんの合格の道しるべになることができれば幸いです。

 

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