先日、管理職向けのコンサルティングをしていて顧問先の管理職の発言で気になる言葉がありました。
「自主性を持たせたいので、こちらからはあまり多くを言わないようにしています」
この発言は結構多く見られます。自主性や主体性を育むのに、本当にこの方法が正しいのでしょうか。
そもそも、自主的になる局面は、当事者意識が生まれたとき、目標達成にコミットしたときではないでしょうか。
当事者意識もなく、目標にコミットしていない状況で、自分で考えて相談に来いといったところで、おそらく永遠にこないでしょう。
来たとしても、相談しないと怒られるから、義務としてやっているでしょう。
しっかり教えてあげるのか、自分で考えさせるのか、この基準はパスゴール理論が便利です。
パスゴール理論とは、
「部下が目標(ゴール)を達成するためには、管理職はどのような道筋(パス)を通れば良いのかを示したもの。部下に足りていないものを管理職が補完する場合には、部下の業績と満足度が高まる。タスクがすでに明白であったり部下に十分な能力があるにもかかわらず、タスクについて長々と指示をすると満足度が下がる。部下のモチベーションと能力によって4つのアプローチを使い分ける」
・指示型アプローチ(部下の活動の計画や統制、調整を行う)
やるべきことが不明確であったり属人的な営業の場合、部下には強いストレスが多いので、明確な指示が好まれる。
→主に新人層、若手が対象になる
・支援型アプローチ(部下のニーズに関心を持ち、友好的な関係を築く)
部下が明確なタスクを遂行している際には、ある種官僚的な仕事の進め方の方が成果につながりやすい。
→ポジションについている、経験ある中堅社員
・参加型アプローチ(ナレッジ共有と参画意識を持たせる)
自分で状況をコントロールしたいという部下に対して、決定に関与しているという満足度を与える。
→経験はあるがモチベーションは今ひとつの3-5年の社員
・達成志向型アプローチ(挑戦的な目標を設定し、絶えず成果を求める)
目標達成意欲に溢れる社員に効果があり、そうではない社員には逆効果になる恐れがある。
→貪欲な成長志向型か役員クラス
さて、自主性を育みたいと管理職はみな考えます。しかし大切なのは部下のステージです。
今回の管理職の部下は今年入社の新入社員です。僕からみたら、まだまだ指示型アプローチが必要なステージです。
幼稚園児には幼稚園児にわかる指導、大学生には大学生にわかる指導、当然、受け手側によってコミュニケーションレベルは変わります。
部下にはどのアプローチが適切なのか、いちど考えてみるのも良いかもしれません。
ご参考ください。