「牛丼一筋 300年はやいの うまいのやっすいの~」

 

僕はキン肉マン世代。吉野家に行ったことがなかった幼少時代は、キン肉マンが歌うこの歌詞で吉野家に行きたい欲に駆られていたことを覚えています。

 

今になって吉野家の戦略は生産管理の基本原則に基づいた経営をしていたことに気づきます。

 

生産管理とは、顧客に「よいもの(品質:Q)」を「安く(コスト:C)」「早く(納期:D)」を提供するために効率化を図ることです。

 

昔の吉野家は牛丼一本で勝負をしていました。これは、生産の合理化である3S(単純、標準、専門)の体現と言ってよいでしょう。

 

しかしながらBSE騒動あたりから吉野家がおかしな方向にかじ取りをしました。豚肉に変更するのは致し方ないかもしれませんが、定食など今までになかったメニューを増やし始めました。単純さが強みであった吉野家がその単純さを捨て、複雑に走りました。これは松屋の定食、すき家のバラエティ牛丼などの台頭を追従したのでしょう。

 

そもそも吉野家は男がだまって牛丼をかきこむ店です。松屋は定食好き、すき屋は女性や家族をターゲットにしました。吉野家はターゲティングを変えずに、商品構成を変えるという暴挙に出たわけです。

 

結果、今の吉野家になってしまったわけですね。

 

単純化がすべてではありませんが、ターゲットと生産管理の相性こそ、経営戦略と言えるでしょう。

 

吉野家ファンであり、ミジンコ並みの株主である僕としては、古き良き時代の吉野家に返り咲いてもらいたいと願うばかりです。

 

 

余談として、企業としてQCDのすべてを追及する必要はありません。どれかひとつ秀でていれば充分に顧客から支持を得られます。

 

ウーバーイーツは決して安くありませんが、手軽だし、早いです。

日高屋はたいしておいしくありませんが、とても安いです。

 

少々浪費癖があっても、美男美女のパートナーなら我慢できるかもしれません。

 

バランスではなく、強みこそが企業経営のかなめです。

平均点企業はいずれ淘汰されるでしょう。

 

 

浅井隆志