毎週の部門長会議では、営業部の売上が悪いと社長からどやされる。営業会議で部下に発破をかけるも、うんともすんとも言わない。部下がやらないからノルマ達成のために自分で売上をつくる。営業で忙しいにも関わらず、部下はクレームも持ってくる。しかもホウレンソウがないから、対応もすぐにできない。それをまた上司に報告すると、しこたま怒られる。だから、部下の悪い報告は隠すようになり、部下に成果の期待をしなくなる。数字が足らないのに、部下が突然やめるという。
どうして俺に協力しないんだ!!!!と、叫ぶこともしばしば。なにを隠そう、僕が初めて管理職になった時の日常でした。

管理職への出世は僕の自己顕示欲を満たしてくれましたが、とても給料に見合うものではありませんした。部下の売上も面倒みないといけない。部下のクレームも処理をしないといけない。だからといって、部署の売上が上がっても僕の給料に反映されない。
正直、プレイヤーとして働いているほうが楽だし、収入もいい。費用対効果がいいと感じていました。だから部下に対して、いつもイライラしていたように思います。

管理職の仕事は、部下の成果を管理し、仕事をしているかを監視し、そして発破をかける。部下の成長のために仕事は教えない。これが管理職の仕事だと思っていました。


一向に上がらない成果、辞めていく部下が後を絶たない状況下で、僕はある考え方を思い出しました。

「フィードバック(成果や反応、結果)はすべて自身がつくりだすもの」

売れない営業マン時代は、売れない理由をいつも誰かのせいにしていました。景気が悪い、うちの商材は高い、ライバルは販促物が充実している、などなど悪いフィードバックは誰かのせい、良いフィードバックは自分でした。
そうではなく、売れるのも売れないのもすべては自分が原因であるという考え方が正しい。もう少し丁寧に言えば、そう思うことによって自分が成長できると気づきました。それが僕の営業成績を大逆転させた考えでした。

マネージメントも同じく、「部下の成果、反応はすべて上司である自分次第」という考えに至ることができました。
管理職の責務は、自分のチームの成果を出すこと。そして、そのチームの成果はどのような事情があっても、自分のせいである。でも、これって、不幸ですよね。なんでこんな大変な仕事を引き受けなければいけないのかと。それでもがんばれた理由は、「課長についていきます!」という稀な部下がいてくれたから他なりません。

管理職は大変つらい仕事です。めちゃめちゃ忙しいし、やっかいなことばかりです。しかしながら、管理職でしか味わえない喜びも間違いなくあります。


そもそも仕事のやりがいとはなんでしょうか。僕は3つに集約できると考えています。

・報酬 ・認められる喜び ・自己成長する喜び

報酬は生きる上で不可欠な生活の糧です。最低限を賄うことができるようになれば、欲しいものを手に入れることもできますし、おいしいものもたくさん食べられるようになります。大切な家族を守ることもできますし、旅行など思い出を作ることもできます。

お客様から認められる、上司や同僚から認められる、部下から慕われるなど、必要とされるというのは、とても嬉しいことですよね。仕事でまわりに良い影響を与えられるようになれば、仕事がさらに楽しくなるのは間違いありません。

できないことができるようになる、いわゆる成長実感も仕事の喜びです。自分だけでなく、できなかった社員ができるようになる成長を見守れるのも管理職の仕事の喜びです。


「浅井課長のおかげで契約が取れました!」
なにより部下と手に手を取り合って達成感を味わえたことが、管理職の意義、やりがいに気づけた瞬間でした。


管理職になるとこの3つの喜びが増大します。もちろん責任も義務も伴いますから喜びだけが増えるわけではありません。管理職ならではの不幸を、腹を据えて背負えば、きっと今までにない喜びを味わうことができます。

損して徳とれ あとですべて返ってくる