管理職に問う。

 

あなたは管理職としてふさわしい仕事をしているだろうか。

 

管理職の仕事で大半をしめているのが業績の管理。そして、プレイヤーとしての成果。この二つが中小企業から大企業まで含む管理職の仕事になっている。

 

おおよそどこの企業でも管理職になる条件は、以下の3つ。

・プレイヤーとしての成果

・社歴

・年齢

 

「名プレイヤーは必ずしも名監督にあらず」という言葉があるように、プレイヤーとして成果が出せたとしても、優秀な管理職になれるとは限らない。プレイヤー能力とマネージメント能力はまったくの別物であるからだ。

 

大中小どこの企業も名プレイヤーを管理職にあげる。たしかに、プレイヤーとしての能力や実績がなくては、その判断が正しいのかさえ危うい。だからプレイヤー実績に重きをおく。役職がつくことによる社内の軋轢を無くすために、社歴や年齢も考慮される。しかし、その管理職がマネージメントを上手にできる保証はどこにもない。マネージメント能力を乞われて役職がついているわけでないのが最大の原因だ。

 

優秀なプレイヤーが管理職になる背景には二つ。戦後の管理者の役割の基本的概念と、日本文化である。

 

戦後の管理者育成の主軸は、まさに管理であった。製造や工業の管理職の責務は進捗管理がメインであった。主に米国から輸入された生産管理が基本となる。そして日本には戦後に作られた年功序列なる文化がある。よって、現在の管理職の仕事ができあがっている。

 

物を作る生産性向上はこの管理が向いていた。しかしながら、付加価値を創り出すこの時代には当然ながら不向きで、管理職の変容が問われている。

 

モノづくりからヒトづくり。

 

かの松下幸之助も「松下電器は何をつくるところかと尋ねられたら、松下電器は人をつくるところです。あわせて電気器具もつくっております。こうお答えしなさい」と言っている。

 

人を育てるこそが管理職の仕事であると言っても過言ではない。

 

指摘だけでなく、指導をしているか。

見本手本となる、姿勢を見せられているか。

 

管理職にはスキルも求められるが、姿も求められる。尊敬していない上司の武勇伝ほど酒をまずくするものはないが、誰しもがイチローの苦労話なら耳を傾けるだろう。

 

何を話すか、そのまえに、誰が話すかが重要だ。

 

浅井隆志