商品やサービスにライフサイクルがあるように、組織にもライフサイクルがあります。

 

人間に例えると、生まれた頃は親の手助けが必要で、歳を重ねるごとに身体も成長し、精神的な成長を遂げます。

孔子の論語にも 「吾、十五にして学に志す。三十にして立つ。四十にして惑わず。五十にして天命を知る。六十にして耳順う。七十にして心の欲する所に従えども、のりをこえず」という言葉があるように、命あるものは成長し変化を遂げ、やがて円熟、衰退します。そして次世代に受け継がれます。

 

「組織の経営学」リチャードLダフトによると、組織のライフサイクルは4段階に定義されます。

その四段階に合わせて、組織の傾向と対策(浅井流マネージメント)をご紹介します。

 

1.起業者段階

創業者の想いや革新性、熱意などが重視される段階です。業績を上げなければ飯を食っていけないという現状でもあり、成果至上主義になりがちです。しかし事業のスタートアップの生命線は売上であり、このような動きは決して悪ではありません。このタイミングでは部下育成や帳票をそろえるなど管理の側面が後手後手になります。

 

□組織の傾向

・心配と不安、緊張感を持つ
・チームに受け入れられたいと願う
・他のメンバーに遠慮する

・リーダーの指導、指示を期待する
・安全策をとり、対立を避ける
・他のメンバーに適応しようとする、他のメンバーに依存する
・個人の内側にエネルギーが向かう

■取るべきマネージメント
・目的と目標をメンバーと共有する 

・自分の感情を表現する
・メンバーの関係性を築く 

・リラックスさせる

 

2.共同体段階

内部統合を構築する段階です。起業者段階では個々がプレイヤーとして成果をだし、その成果の総和で成り立ちますが、次の段階は組織化です。ただこの段階での組織化は極めて独特と言えます。リーダーの資質や特性に応じた社内規範が重要視されます。また、階層や部署が増えることによってトップマネージメントが隅々までいきわたらなくなってくる段階でもあります。

 

□組織の傾向

・メンバー間の力関係を確認する

・内部の競争にエネルギーが向かう

・意見やアイデアが対立する

・メンバー間の様々な違いを感じる

・協働に抵抗するメンバーが現れる

・体制や物事の明確化への欲求が高まる

・メンバーの関係について懸念する、サブ集団ができる

 

■取るべきマネージメント

・求める行動を具体的に説明する 

・メンバーと共有する 

・メンバーに対し、感情について話し合うことを推奨する

 

3.公式化段階

職務規定、就業規則、会計制度、人事評価などのさまざまなルールが整備されます。組織が大きく複雑になっていく、または多様性を受け止める、いわゆる働き方改革を推進できる土壌でもあります。管理の必要性があるので、管理職や管理機能部署(総務や人事)が必要になります。縦割りになる官僚制の弊害も現れます。

 

□組織の傾向

・対立を乗り越え、協力して仕事をする
・自分の役割や責任を意識する
・お互いの貢献を認める
・チームメンバーとしての行動を意識する
・自分の役割にエネルギーが向かう
・感情を共有し、相互にフィードバックする

 

■取るべきマネージメント

・規範を重視する

・メンバーの役割と責任について確認する

・アイデアの探求を推奨する

 

4.精巧化段階

多数の部門に分割され、小規模組織の利点を確保される段階です。場合によって部署や部門を超越したプロジェクトチームも結成されます。一課長の下に社員は五名程度にし、5-7人のチーム制を導入している大手企業も多く見受けられます。組織としては成熟していても分業が進めば進むほど創業者、企業理念が薄れるので、常に再定義、再構築が求められます。

 

□組織の傾向

・自分たちで問題や課題を解決する

・柔軟な姿勢で目標に取り組む

・共通の目標にエネルギーが向かう

・高度な仕事指向と人間指向で働く

・スキル、能力を信頼して、お互いを頼る

・メンバーは自立しており、チームへの帰属意識が高い

 

■取るべきマネージメント

・モチベーションを維持させる

・メンバーをコントロールしない

・新たな課題を作る

 

 

ご参考ください。

株式会社セールスの学校
代表取締役 浅井隆志