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営業のクロージングというと、押したり引いたり、お願いしたりと、売り込む印象をお持ちではないでしょうか。

実は、営業のクロージングはとても簡単です。しかも、たった一言です。

「いかがでしょうか?」

こんな簡単な一言で売れるわけがない。もっと最後の一押しが必要じゃないか。

あなたがそのように思うのなら、セールスの流れを見直す良い機会になるかもしれません。
営業のクロージングで押すとどうなるか?

恋愛には熱烈なラブコールが必要かもしれません。こと営業に限っては、押したクロージングは、ただの押し売りにしか過ぎません。押し売りされて喜ぶ方を、僕はまだ見たことがありません。世の中は広いので、押し売り歓迎の方もいるのかもしれません。しかし、いたとしてもごくごく少数のはずです。

しかも、押し売りにはキャンセルというおまけがつきます。
営業のクロージングで引くとどうなるか?

お客様は最終決断で、積極的に行動を起こしません。どんなに欲しくても、どんなに買いたくても、背中を押してもらいたくなるのが人情です。特に高額帯の商品やサービス、まだ使ったことのないもの、新しいサービスなどは、最後の決断で足踏みします。

不思議なことがあります。お客様と良い関係を築いて、親切丁寧に接しているのにもかかわらず、契約が取れない営業マンがいます。理由は簡単で、クロージングをしません。クロージングするのが怖いんです。クロージングをすることで、嫌がられたらどうしよう、営業っぽく見られたらいやだなぁと、引っ込み思案になってしまう。そもそも、営業なのに、売ることに抵抗感がある方が多くいらっしゃいます。

「じゃあ買います」「そろそろ契約しますか」なんて、お客様の言葉を永遠に待つ営業マンが存在します。これでは売れるわけがありません。口をあければ、エサが運ばれてくるなんて、ビジネスの世界ではありえません。
クロージングでお願いするとどうなるか?

あなたが頭を下げた瞬間に全ての価値がさがります。商品やサービス、そしてあなたの価値が下がります。頭を下げると、見えない糸に引っ張られたように、価値もつられて下がります。これだけは、絶対に避けなければいけないことです。

私も以前、お願い営業といわれるクロージングを試してみました。売れないときの試行錯誤で、熱意で何とかなると考えました。

「お願いします!僕の一生のお願いです!今日、契約をお願いします!」

頭をふかぶか下げました。60度の最敬礼を超えて、立位体前屈さながらの頭の下げっぷりです。

結果は・・・・・・もちろん、惨敗でした。お客様からは「なんで、私があなたのお願いを聞かなければいけないの?」

もう、このときはぐうの音も出ませんでした。言われてみて、「た、たしかに」と冷や汗を流した痛~い経験をしました。

究極の営業クロージングは、「いかがでしょうか?」という言葉掛けです。あくまでも最終判断を下すのは、お客様です。買うか買わないかを決めるのはお客様です。
営業の仕事は、押して売りつけることでもありません。じっと黙って、お客様の反応を見ているわけでもありません。頭を下げる仕事でもありません。

あなたがすることは、お客様に決断を促すことです。決断を促すことが、本当の営業クロージングです。

クロージングで決断を促し、お客様が了承したときは、なんと言ってくれますか?
「お願いします」と、言ってくれるはずです。

あなたはお客様にお願いするのではなく、お願いされる営業マンになれます。それには、たった一言で充分です。権限を相手に委ねる一言がポイントです。質の良い言葉は、質の良いお客様との関係をもたらしてくれます。

ご参考ください。

浅井隆志