昔々、空を飛べない鳥がいた。
ほかの多くの鳥たちが空を飛んでいるのを見ながら、この鳥は鶏のように、地面の上を歩き回っていた。偶然の出来事が度重なって、この鳥は、空を飛べる鳥の卵を抱くことになった。
やがて、飛ぶ能力を秘めた雛が生まれた。
ある日、雛鳥は育ての親にたずねた。
「僕はいつになったら飛べるようになるの?」
空を飛べない鳥は答えた。
「いままでどおり、みんなと同じように、飛ぶ努力を続けなさい」
どのように訓練をさせれば雛鳥を飛べるようにできるのか、この親鳥にはかいもく見当がつかなかった。巣から落として覚えさせるという、最も基本的な方法さえ知らなかったのだ。
雛鳥がそのことに気づかなかったのは、いささか奇妙なことではあったが、自分を孵してくれた親鳥に対する感謝の念から、雛鳥の状況を認識する能力は混乱していたのである。
「両親の助けがなかったら、間違いなく僕は、いまだに卵から出られなかったにちがいない」と雛は思った。
また、自分によくこう言い聞かせもした。
「僕を孵すことのできたほどの者が、飛ぶことを教えられないはずがない。だからこれは、単なる時間の問題か、僕自身の努力が足らないか、あるいは何らかの不思議な理由によって、偉大な知恵が関与しているにちがいない。そうだ、きっと、そうにちがいない。ある日、僕は、現在の状況へと僕を導いてくれた者にによって、次の段階へ導かれていくのだ」
★不運やうまくいかない理由を、環境のせいにしている人は、一生飛ぶことができない。
世界の中心は、すべて自分であって、自分が世界を作るという意識が必要だ。
行動こそが、成功への道だと思う。