王の娘の美しさは月のようであり、誰からも愛されていた。


ある日、食事中の物乞いが彼女を見て、感動のあまり、手に持っていたパンの切れ端を地面に落とした。

王女は物乞いの傍らを通り過ぎてゆくとき、彼に微笑んだ。


物乞いの体は感動に打ち震え、分別がどこかに吹き飛んでいった。パンは埃にまみれ、物乞いはその後、恍惚状態のまま、犬たちの寝起きする通りで七年間を過ごした。



王女の側近たちは、王女にとって好ましくないこの物乞いを殺すことにした。


王女はひそかに物乞いを呼んで、こう言った。

「あなたと私のあいだにはいかなる関係もありません。でも、私の家臣たちは、あなたを殺すつもりです。この国から早く立ち去りなさい」


哀れな男は答えた。

「あなたを初めて見たときから、私には自分の命など、どうでもよいものになってしまいました。あなたの家来はなんなく私を殺すことができるでしょう。でも、あなたは私の死の原因なのですから、その前にどうかひとつだけ、私の質問にお答えください。あのとき、なぜあなたは、私に微笑まれたのですか?」


「愚か者よ!」と王女は言った。

「おまえのふるまいがあまりにも馬鹿げていたので、哀れに思って笑っただけです。ほかに理由などありません」

そう言って、王女は物乞いの前から去っていった。




★過度の期待をもって、依存することは、身を滅ぼす。

物乞いも、ひとりでモンモンと7年間すごすより

もっとはやく、聞いちゃえば、時間を無駄にしないで済んだのに・・・


答えのない思考はタダの無駄。まずは、行動ありきですね。