ある商人が籠の中で鳥を飼っていた。
彼は鳥の生まれ故郷であるインドへ行くことになり、鳥に何かお土産を買ってきてやろうかとたずねた。
鳥は自由の身にしてくれと頼んだが、その願いは聞き入れられなかった。
そこで鳥は商人に、インドのあるジャングルを訪ねて、そこにいる自由な鳥たちに、自分が囚われの身であることを伝えてほしいと頼んだ。
商人はインドに着くとそのジャングルに行き、鳥との約束を実行した。
すると、話を終えるや否や、自分が飼っているのとまったく同じ鳥が、意識を失って地面に落ちてきたのであった。
商人は、この鳥は自分の飼っている鳥の親戚にちがいないと考え、自分のせいで鳥を死なせてしまったことを悲しんだ。
彼が家に帰ると、「インドから何かいい知らせがありますか」と鳥がたずねた。
「いや」と商人は答えた。
「残念ながら、悪い知らせだ。おまえが囚われの身だと話したら、おまえの親戚のものが倒れて、私の足元に落ちてきた」
この話を聞くと同時に、鳥籠の中の鳥も倒れた。
「自分の身内の死の知らせを聞いて、この鳥も死んでしまった」商人は悲痛な気持ちで鳥を拾い上げ、窓辺に置いた。
すると、たちまち鳥は元気をとりもどし、近くの木へ飛んでいったのであった。
「これで、あなたにもわかったでしょう」と鳥は言った。
「あなたが災難だと思った知らせは、わたしにとっては、いい知らせだったのです。主人のあなたを通して、自由になるための有益な方法が、わたしのもとに届けられたのですからね」。
自由の身になった鳥はそう言って、飛び去っていった。
★今が苦難だとしたら、それはチャンスが訪れる前兆かもしれない。
同じ出来事でも、捕らえ方や視点を切り替えることで、別の意味を見出すことができる。
大切なのは、結果の意味付けだと思う。