東山御物とされている唐物茶入は、

大名物 漢作唐物」とされていて、

現存する代表的なものには

唐物肩衝茶入 銘 初花

唐物肩衝茶入 銘 遅桜

唐物肩衝茶入 銘 北野肩衝

唐物肩衝茶入 銘 楢柴肩衝

  (ならしば かたつき)

唐物大海茶入 銘 内曇大海

  (うちぐもり たいかい) 

唐物小丸壺茶入 (慈照寺) 

がある。

 

このなかで、最も有名なものといえば、

唐物肩衝茶入 銘 初花

  (徳川記念財団所蔵)

(写真はネットより借用)

 

これは徳川記念財団が所持している

ものなので、東京では

なかなか見ることができないが、

2017年に東京国立博物館で開催された

「茶の湯展」に出ていたと思う。

 

これまで色んな唐物茶入を見てきたけど、

「付藻(つくも)茄子」と並び称される名品で

この茶入ほど、美しいと思ったものはない。

 

別冊淡交「茶入」愛蔵版では

記事の最初に「茶入の王者」という題で、

初花を取り上げているくらい。

 

この初花という銘は、足利義政が

命名したとされていて、古今和歌集の

くれなゐの はつ花ぞめの

色ふかく 思ひしこころ

われわすれめや

という和歌をもとに銘を取ったとされる。

 

この茶入は、

義政から、村田珠光の弟子に渡り、それが

織田信長の道具狩りの第一号として

召し上げられ、それが信忠に与えられて、

本能寺を迎え、その後は、転々としたが、

三河人より徳川家康に献上された。

 

家康は、これを柴田勝家に戦勝した秀吉に

献上した。

秀吉は、「付藻(つくも)茄子」と

「初花」をもちいて、何度も茶会を開いた。

 

秀吉の死後、宇喜田秀家が取得し、

関ヶ原の乱の後、家康のもとに戻ったが、

大阪の陣の功労者松平忠直に与えられ、

忠直が流罪となった後に、また家康のもとに

戻ったという。

 

それにしても「初花」は、

一国一城よりも珍重された名品なのに、

家康は、余り執着がなかったらしく、

手に入れても、手放してしまうのは、

「付藻(つくも)茄子」と同じ