茶道実用手帳(宮帯出版社)で、

かつて6月の茶碗として、挙げられて

今は外されてしまった茶碗である

「斗々屋ととや」

 

その呼び名の書き方には、

斗々屋・魚屋・魚々屋などがあって

・利休が堺の魚屋の棚から見出したから、

・かつて斗々屋なる人物が所持していたから

など色んな謂れがあるからで、

「斗々屋茶碗」がどうして「ととや」

なのかすら、定説がない。

 

高麗茶碗の一つで、歴史的に名品も

かなりの数があるけど、

作風だって、形からすると、

本手(ほんで)、平(ひら)のほかに、

「利休ととや」がある。

 

このなかで、見込みが深いものが

本手とされ、なかでも有名な茶碗には、

根津美術館所蔵の

斗々屋茶碗 銘「春日山

(写真は「茶の美術」(根津美術館)

より借用)

 

三井記念美術館所蔵の

魚屋茶碗 銘「かすみ

(写真は「室町三井家の名品」

(三井記念美術館)より借用

 

いずれも淡い黄色の釉薬に

緑の釉薬がかけられている。

 

しかし、

本手斗々屋茶碗とされている

ものには、

(写真は「高麗茶碗」(谷晃ほか、

淡交社)より借用)

 

これなど、

胎土も釉薬も全く異なる

高台から胴までの腰のあたりが

箆で削られているものもあれば、

直線的な杉型のものもある。

 

平の魚屋茶碗としては、

松平不昧公愛蔵のもので

今は藤田美術館に所蔵されている

魚屋茶碗 銘「広島」がある。

(写真は「茶道具の世界2 高麗

茶碗」(淡交社)より借用)

 

これなど蕎麦茶碗といわれたら

そうだろうなと思ってしまう。

 

胎土は、荒いものもあれば、

磁器に近いものもあり、

これは中興名物とされている

ととや茶碗 銘「東高麗

(写真は「愛蔵版名碗大図鑑

(世界文化社)より借用)

 

「斗々屋茶碗」の特徴を一言で

言うことすらできず、「これが

斗々屋茶碗なんだ」と言えなくて

困りもの・・・

 

これが6月のお道具とされた理由も

分からないし、外された理由も

正直なところ分からないのが残念