三井記念美術館所蔵の名品といえば、

国宝 志野茶碗「卯花墻」(うのはながき)

 

その箱書も立派で、片桐石州の筆とされ、

その蓋裏の和歌を読んでいるが、

これまでの2行は

やまさとの うのはな

かきのなかつみち ゆき

 

さあ、今回は3行目から

 

最初の字は、「不」なので、ふ

その後は、平仮名と同じで、み

次の字が問題だが、平仮名だと

「き」に見えるが、筆の流れが違う。

 

文字の繋がりからみると、

「ゆき ふみ・・」だから

「ふみわけし」かと推測できる。

 

とすると、

「者」で「は」と読ませるのか、

「王」の字で「わ」と読ませるのか。

ここは

文節の終わりの副詞ではないので

「者」ではなく、「王」だろう

 

さて、どうして、

「王」が「わ」と読むか?

 

これが変体仮名の面白いところで、

平安時代には漢詩が公卿の世界では、

教養の大もとにあったことを

思い起こすと良く分かる。

 

私たちの年代だと、「王」と聞くと

そうなんです。

巨人軍の「ワンちゃん」

だから変体仮名で「王」は「わ」

と読ませる。

 

中国語読みを、変体仮名でも

使うんですね。

面白い!

変体仮名の勉強はこれだから

やめられない。

 

ということで、これまでを流して

読むと

やまさとの うのはな

かきのなかつみち ゆきふみわけし

 

(写真は、今回の図録「茶の湯の

美学」(三井記念美術館)より借用)