昨日の大河ドラマ「光る君へ」では、

またまた面白いシーンがあった。

 

ここでは、

ユースケ・サンタマリアの演じる

安倍晴明が、道長から話を聞きながら

左右に膨らんだように踏み出す、

変な足取りをやっていた。

 

安倍晴明は、陰陽師といって、

本来は、時間や天候、天変地異を

予測するような当時の科学者なのに

それを超えて呪術、占い、預言まで

やってしまうような存在で

 

先ほどのシーンは、多分、

禹歩」(うふ)というステップ

 

これは

北斗七星の形をたどるように

足を進めるもので、これは

元々あった儀式を、安倍晴明が

作り変えたもので

 

天の星の力で大地の邪気を払う

儀式、呪術のようなもの。

 

本来は足踏みするだけではなく、

「天逢、天内、天衡、天輔、天心・・」

などいう呪文を唱える必要があるみたい

 

ただ、これでは道長との会話ができず、

ドラマにならなくなるので

省略されていた。

 

この他にも、

一条天皇が病となったときにも、

泰山府君祭」という儀式をやって

病を治したとか、

 

鬼やろう」という言葉を叫んで、

鬼を追い払う、「追儺」(ついな)

という庶民の行事を、天皇の方針に

反して執り行ったとか、

 

安倍晴明が朝廷だけとどまらず、

庶民のヒーローにもなったという。

 

ところで、

先ほどのシーンに戻ると

これからのドラマの展開にも

関わるのだろうが、

 

道長が伊周(これちか)、隆家が

長徳の変で左遷されたのを心配し、

二人の将来を聞いた。

 

これに対し、安倍晴明は、

「伊周は、道長さま次第」

「隆家は、必ず道長さまのお力に

なりましょう」という。

 

これを歴史からみると、

伊周は、

処分の翌年には京都に戻るが、

なかなか怨念から抜け出せないで、

公卿としての出仕もままならず、

道長などを呪詛したとして

捕らえられ、37歳で亡くなった。

 

他方、ちょっと乱暴者だった

弟の隆家は、九州の太宰に戻って

地域で善政をしいたようで、

 

北方の女真族が出雲、博多などに

攻めてきたとき(刀伊の入寇)に、

九州周辺の豪族を取りまとめて、

撃退したことで知られている。

 

このとき朝廷では、隆家の

恩賞をどうするか議論になり、

このとき多くの公卿は、

道長と伊周兄弟との関係を慮って、

「朝廷の命で行ったものでないから、

恩賞の対象でない」とした

 

これに対し、有職故実に通じる

ロバート秋山の演じる実資が、

これまでの恩賞の故事を持出して、

「危急事態で、朝廷の命を

受ける時間がなかったものを、

朝廷の命がないからといって

恩賞の対象としないのはおかしい」

と論陣をはって、恩賞を与える

ことになったらしい。

 

長徳の変では、伊周兄弟を

処分する側にいた実資が、

隆家に恩賞を訴える判断を

したことが分かる。

 

実資が、有職故実に精通した

学識、見識のある当代一流の

人物と目されていたことの

理由が分かる逸話かな。

 

今日は季節ものの大樋焼