大河ドラマ「光る君へ」で、

藤原氏内の政争の周辺にあって、

その状況を客観的に伝えて、

ドラマの舞台回しをするかのごとき

存在感を示しているのが、

ロバート秋山が演じる藤原実資(さねすけ)

 

この人は、

藤原氏の「氏の長者」であった小野宮流

祖父が関白太政大臣実頼、

実資の父は、公任の父頼忠と兄弟で、

藤原公任の従弟にある

 

氏の長者だった実頼の養子となり、

膨大な家領を継いだ。

 

一条天皇の時代となると、

藤原家の権勢は、小野宮流から

一気に兼家の九条家に移り、

そのため、実資も蔵人頭という役職を

突然離れることになった

 

しかし、

実資は、藤原北家の実頼の養子として

朝廷のこれまでの歴史上の行事、儀式、

儀礼などの先例である有職故実

(ゆうそくこじつ)についての資料も

引き継いでしまっていたので、

 

当時から実資は、

有職故実に精通した学識、見識のある

当代一流の人物と目されていた。

 

そのため、

実資は、小野宮流でありながら

その翌年には、蔵人頭に復職して、さらに

2年後には、参議となって公卿に列した。

実資は、最終的には、右大臣まで昇り、

賢人右府」と呼ばれた。

 

権勢・地位のいかんにおもねらない

人物だったようで、

 

そのため

大河ドラマ「光る君へ」でも

九条家のなかでの政争が起こり、

すなわち関白道隆が亡くなった後に、

若い伊周(これちか)が関白となるのでは

という噂が公家の中に流れたときも

そんな若い関白があってはならない

といって、

「誠によくない流れであるな、

道兼さまが関白となるべきだ」と

口に出している。

 

前回は、朝廷の参議の会議のあと

右大臣となった道長に向かって、

官職を超えられてしまった内大臣の

伊周が食ってかかる事態となって、

それを道綱から伝え聞いた実頼は、

「そんな面白いことがあったのか。」

と言って、面白がった。

 

小野宮流の実頼としては、

九条家のなかの権力争いなど

高みの見物ということなんだろうな。

 

こんなシーンなんか、

実資の人物像が分からないと、

本当の意味は、ちっとも分からない。

 

それにしても、ロバート秋山は

良い役をもらったな・・・と実感

 

真葛香斎造 蛤香合

十二単衣の雅な絵付