茶席によく出る赤い色の棗は、
それが赤茶なら、溜塗といっていいが、
真っ赤、朱色の鮮やかな色のものもある。
赤い色の棗で、刷毛目、ぼかし、
擦れなどで、下塗りの黒が見えるようなら
根来塗(ねごろぬり)といっていい。
根来というと、紀州の忍者の里
伊賀、甲賀と並び称されるが、
根来衆は、本来は寺院僧兵がもとで、
伊賀、甲賀衆は、農民などが傭兵として
諜報活動や戦闘に加わっていたのとは
成り立ちが少し違うんだけど・・・
根来の茶器は、根来の寺院の実用品
である薬器などを、薄茶器などに
見立てたものとされている。
(写真は、「茶道具の世界6 棗」
(淡交社)より、借用)
これに対し、きんま棗と言われる
ものがあって、これはマレーシアの
蔦の灌木のことだが、
下塗りの黒に線、点で漆を刻印して
その上に朱の漆を塗って、
これを平滑に研磨してつくったもの
(写真は、「茶道具の世界6 棗」
(淡交社)より、借用)
赤い色の棗といえば、お正月に
出される曙棗(あけぼの なつめ)
九代中村宗哲 玄々斎好【曙棗】
これは裏千家11代玄々斎のお好みで、
他の流派では使わないかもしれない。