お茶席で見かける筒型の薄茶器に

金輪寺」がある。

 

それにしても、金輪寺は、利休所持

されている北村美術館の金輪寺が

余りにも有名で、その溜塗の美しさは

唯一無二といっていいくらい。

(写真は、写真は「利休のかたち」

(淡交社)より借用)

 

これは御醍醐天皇が吉野の金輪寺で

(金峰山寺と書かれている解説もある)

一字金輪の法を修した祭に,衆僧に茶を

賜ったときの容器とされている。

 

もとは蔦材を筒形に作り、外は溜塗り、

内は黒漆塗りで、

 

そういう謂れもあって、金輪寺は、

格の高い道具とされていて、初期には

濃茶入として用いられていたが、

今では濃茶、薄茶ともに用いられる。

 

近年もともとの金輪寺は、小型の経筒

であったとも考証されている。

そのためか金輪寺の胴の内側は、

底が直角に切り取られている。

外観が金輪寺と同じものに

寸切」(ずんぎり)があって、以前

どうしても、その区別が分からなかった。

 

最近になって、胴の内側が寸切では、

底が丸みをもって削られていることを

知って、得心した。

(以上の図は、茶道実用手帳(宮帯出版社)より)


金輪寺の薄茶器は、北村美術館の

ものが頭から離れないので、どうしても

買ってみる気分になれない道具かな。