蹲踞(つくばい)で、

手と口を清め、心身ともに

お茶席に入る準備ができた。

 

2~4畳半の小間の茶席は、

小さい躙り口(にじりぐち)から

席中に入ることになる。

 

緊張が高まるタイミングだが、

このとき腰に差している扇子

確認することを忘れないように。

 

正客から順に並んで、

躙り口に向かい、正客は、

躙り口前の石段に膝まづいて、

手がかり」といって、戸が少し

空けてあるのを確認してから、

右手で半分空け、左手で残りを空ける。

躙り口の戸を空けると、まず

躙り口の戸の敷居のすぐ前に

扇子を置いて、手をついて、

席中の様子をうかがい、

扇子を前に出して、頭を入れ、

扇子をさらに前に出して、

膝から全体を席に入る。

躙り口で席中をうかがうときに

席の広さによって、立って

移動するのか、にじって進むのか、

床の位置、釜の位置を確認して、

席中の動きと、正客が座る位置を

判断することになる。

 

身体全体が席に入ると、

扇子を左側に置いて、

座ったままで、体を入り口側に

回して、躙り口の方を向いて

頭を出して、両手で草履を取り、

草履の裏を合わせて、草履を

下座に立て掛ける。

(写真は、「入門お茶の作法」(西東社)より借用))

 

そして、席中に向き直り、

立って、床に向かうことになる。

 

小間といって、狭い茶室では立たずに、

にじって移動することが多い。

 

最後に、末客(お詰)は、

席中に入ると、躙り口の戸を

閉め、鍵をかける。

 

正客は、お茶の経験者がなるので

次客以下は、その所作をよく見て、

それに従うことになる。

 

茶席の構造は、様々なので、

席中の様子をうかがったときに、

下座床など通常の構造でないときは

半東さんがいれば、主客の位置を

どうするか、聞いてみてもいいと思う。

 

こういう場合、次客、末客も、

入室にあたって席中をうかがうが、

主客が、下座床で、どこに座るかをみて、

それに従うべきで、

 

私が正客となった茶席のように、

末客がざわついて、こそこそ

「そこは違う」だのと言うのは、

主客に対する敬意を欠き、

客同士で嫌な雰囲気のままとなって

いかがなものかと思う。

 

そのとき私は、茶席が下座床と分かって、

半東と相談して、正客が

どこに座るか決めて茶席に入ったので、

私はそれを無視したが、

その後に、末客の方と会っても、

失礼な人物というレッテルで

見てしまうのは致し方ない。

 

余り非常識でなければ、正客が

仮に間違っても、それはそれで

いいのではないかな。

それが「思いやり」と思うし、

客同士で敬意をもって接することが

重要な気がする。