11月はお茶の世界では、炉開きといって、

お正月のようなおめでたい日で、

昔から炉開きは、旧暦10月(亥の月)の

最初の亥(い)の日に開けると良いと

されていて、それは陰陽五行の思想から、

亥が水を意味していることから、

「火伏せ」の意味があるという。

 

炉開きでは、

亥の子餅(いのこもち)を

いただくのが恒例で、

 

この習慣は、もとは古代中国で、

無病息災を願う宮廷儀式である

「亥子祝(いのこいわい)」から始まり、

それが平安時代に、我が国の宮中にも伝わり、

 

亥の月、亥の日、亥の刻に大豆などを

練り込んだ餅を食べて、無病息災を願う

という習わしがあり、それが武家などにも

広まったとされている。

亥の子餅は、

猪(いのしし)の子(うり坊)の形をしていて、

猪は多産であることから子孫繁栄を願う意味も

含まれていたようである。

亥の子餅は『源氏物語』葵28にも登場し、

当時は結婚の三日目の夜に餅を食べる習慣が

あったようで、それがために三日目の夜に

「光源氏が紫の上(姫君)に、亥の子餅を

趣のある檜の破子に色々に作って、

差し上げたところ、姫君は、

このように沢山ではと言って、明日の暮れに

届けさせるようにいう」と微笑みながら答えた

ということらしい。

 

源氏物語の書かれた時期に、もう亥の子餅が

あって、それが普通に物語のなかで語られて

いるというのもそうだが、

この時代から、女性のご機嫌をとるのに、

甘味が大事というのは、少々笑いがでるかな。

(写真は、ネットより借用)