床の間に掛物と花入が共に飾られる

諸荘り(もろかざり)」の場合の

床に置く花入の位置だが、

これは床の間の構造に関わるので、小難しい。

 

これについては、多くの解説書で、

「上座床」、「下座床」で区別して

書かれている。

 

上座床」(じょうざどこ)は、

亭主が座る点前座の前方にある床のことで、

多くの茶席でみられる構造

    

茶席の構造として、

茶室の床に光を取り入れるため

床の右側に墨蹟窓(障子窓)がある。

    

 

下座床」(げざどこ)

亭主が座る点前座の後方にある床のことで、

このような構造の茶室は滅多にない。

茶席の構造として、

茶室の床に光を取り入れるため

床の左側に墨蹟窓(障子窓)がある。

   

 

ただ、この分け方は現代的でない。

最近の茶室は、いわゆる戸建てで

外に独立している場合だけではなく、

ビルなどの建物内に造られることが多い。

 

そのため茶席の床が

「上座床」の位置にありながら、

床の左側に墨蹟窓(障子窓)がある

場合もあるので、上記の分け方が当てはまらない。

 

要するに、

花入を置く位置を考えると

床の右側に墨蹟窓(障子窓)があるか、

左側にあるかで、分ける方がいいと思う。

 

いずれも

墨蹟窓の方が上座(かみざ)とされ、

「諸荘り」の場合に床に置く

花入の位置は、基本的に「下座」側で、

床を3分して、下座側の3分の1の線

中心がくるように置くのが基本。

(花入の格と掛物で例外がある)

 

花入げ下座に置く?

どうしてそうなのか。

 

これは私の勝手な推測だが、

茶室の床は上座に窓があって、

そこから斜めに光がくる。

 

もし花入を掛物の上座に置けば、

花入は、光の当たらない日陰に

置かれることになってしまう。

 

千利休は、「利休七則」で、

「花は野にあるように」と言っている。

 

花入が日陰になる上座の位置に

置かれるというのは、「利休七則」から

あってはならないことなのだ、と思う。

 

「上座床」というとして、

床の右側に墨蹟窓(障子窓)がある場合

(窓からの光が右側から斜めに入る)

 

「下座床」というとして、

床の左側に墨蹟窓(障子窓)がある場合

(窓からの光が左側から斜めに入る)

 

これが基本で、

「掛物が横物」で、「真」の花入のときは、

床の中央に置かれる。

(写真はネットのほか「茶道具百科1 

床の間の道具 掛物・花入・床荘り」(淡交社)

より)