「原爆は政治的な理由で使われました。大きな悲劇であり、戦争犯罪と言えます。」
※「原爆外交」の著者G・アルペロビッツのインタビューより
Netflixで配信されている「ターニング・ポイント 核兵器と冷戦」のエピソード1
「巨大な太陽の出現」は、原爆が生み出された背景、真珠湾攻撃によるアメリカ人の
反日感情を利用したネガティブキャンペーン、皇室の命運を危険にさらすことを恐れた
軍の強硬派によって無条件降伏が拒否され、原爆投下を防げなかった経緯、被爆者や
“敵性外国人”とみなされて、強制収容所へ隔離された日系移民(3分の2はアメリカで
生まれた二世)へのインタビュー、原爆投下後の広島、長崎の惨状等事実に基づく
客観的な視点で構成された良心的な作品で、アメリカが広島と長崎に原爆を落としてまで
早く戦争を終わらせようとした当時の政治的な状況と、核兵器に対する恐怖が齎した
冷戦の構図が詳しく描かれています。
本作で初めて知った事実は、人類初の核実験が行われたトリニティ実験場の半径250キロ
圏内に、50万人近くの人が暮らしていたのに、避難勧告もされず、被爆した住民もいた
ことで、クリストファー・ノーラン監督の「オッペンハイマー」を鑑賞予定の人には、
参考になるドキュメンタリー映画だと思います。
原爆を落とさなくても、日本は降伏しただろうと言われていますが、戦争が長引いていれば、
ロシアが日本に侵攻して、ドイツのように国を分断していただろうと言う意見もあり、
選ばれなかった未来に進んでいたら、日本もウクライナと同じ情勢になっていたかも
しれません。