劇団四季の「ジーザース・クライスト・スーパースター エルサレム・バージョン」を
京都劇場で観てきました。
1970年当時20代前半だったアンドリュー・ロイド・ウェバーとティム・ライスが、
キリスト最後の7日間を題材に製作したコンセプト・アルバムは、1年後にブロードウェイで
舞台化され、1973年にノーマン・ジェイスンにより映画化されています。
私は、舞台よりも映画で先に本作を知ったのですが、楽曲の良さと映像の斬新さに
圧倒されて、今でもその印象が強すぎて、今回初めて見る劇団四季の舞台では、
頓珍漢な日本語訳や感情表現に乏しい役者の演技、そして舞台表現の古臭さに、
少し物足りなさを感じてしまいました。
劇団四季70周年を記念して、原点である本作に回帰する試みは理解できますが、
新劇時代の浅利慶太の発想は、エンタメとして路線を確立した現代の劇団四季の色には
合わず、今風に脚色しても良かったのではないかと思いました。
因みに舞台では、オリジナルと同じキリストの死で終幕しますが、
映画版では羊飼いとして復活する姿も挿入されています。
昨年、映画版の50周年を記念して、キリストを演じたテッド・ニーリーが、
「I Only Want to Say」を歌っている映像をYouTubeで見つけましたが、
79歳になった彼の姿を見て、キリストが死ぬ場面の後に、
現代に人知れずホームレスとして生きる、年老いたキリストを登場させる終わり方も
ありかなと思いました。
追記
アルバムでマリアのパートを担当したイヴォンヌ・エリマンとピラトのパートを担当した
バリー・デネンは、原作者の強い要望で、ブロードウェイや映画でも同じ役を演じています。