監督 オリヴァー・ハーマナス
脚本 カズオ・イシグロ
原作 黒澤明、橋本忍、小国英雄
音楽 エミリー・レヴィネイズ=ファルーシュ
編集 クリス・ワイアット
撮影 ジェイミー・D・ラムジー
出演 ビル・ナイ、エイミー・ルー・ウッド、アレックス・シャープ
2022年度 製作国 イギリス 上映時間 1時間42分
黒澤明の名作「生きる」を、ノーベル賞作家カズオ・イシグロの脚本でリメイクした
イギリス映画で、死から生の意味を問う、時代や国境を越えた普遍的なテーマは
共通していますが、舞台や役者の違いで、全く異なる雰囲気の作品に生まれ変わっていて、
リアリズムな黒澤版に比べると、ファンタジー色が強く押し出されています。
その最も顕著に表れている場面は、クライマックスシーンの、雪の舞い落ちる公園で、
主人公がブランコに揺られながら歌う曲が、黒澤版の哀愁を帯びた「ゴンドラの唄」に
対して、心の中に刻み込まれた美しき憧憬を歌ったスコットランド民謡「The Rowan Tree」
が選曲されていることで、本作で新たに設定された、主人公の課に配属された新入りの
若い部下に未来が託されて、主人公の死を強調しない希望的なエンディングは、
ある意味、ヒーロー映画と言えるでしょう。