監督・脚本 ベルナルド・ベルトルッチ
原作 アルベルト・モラヴィア
撮影 ヴィットリオ・ストラーロ
編集 フランコ・アルカッリ
音楽 ジョルジュ・ドルリュー
出演 ジャン=ルイ・トランティニャン、ステファニア・サンドレッリ、
ドミニク・サンダ、ガストーネ・モスキン、ピエール・クレマンティ
1970年度 イタリア/フランス/西ドイツ 上映時間 1時間55分
「無関心な人々」「倦怠」「軽蔑」等で知られるアルベルト・モラヴィアの
小説「孤独な青年」をベルナルド・ベルトルッチが映画化した作品で、
原題の“ Il conformista”が「順応主義の」「批判する力のない」「慣行、体制、
現状などに従う者」の意味であるように、ムッソリーニのファシズムに順応して、
秘密警察の一員として活動していた主人公が、イタリアの敗戦によってあっさりと
主義を捨てて転向する姿に、時代に流されるままに生きる日和見な大衆の
心の弱さがシンボライズされています。
反ファシズム運動でパリに亡命した大学教授の若妻役ドミニク・サンダと
主人公と結婚して間の無い、お嬢さんで世間知らずの妻役ステファニア・サンドレッリが、
陰陽を形作って、映画全体に幻惑的な雰囲気を醸し出していますが、特に2人が
タンゴを官能的に踊る場面の美しさは、次作の「ラストタンゴ・イン・パリ」へと
引き継がれていきます。
もう一つ印象的な、コーエン兄弟の「ミラーズ・クロッシング」やコッポラの
「ゴッドファザー」に影響を与えたであろう、大学教授の夫婦が雪の残る森の中で
暗殺される場面を見て、映画は何時から光と影の芸術ではなくなってしまったのか、
一抹の寂しさを覚えずにはいられませんでした。
アルベルト・モラヴィア原作の主な映画
( )内は邦題
ローマの女 ルイジ・ザンパ 1955年
ローマ物語 ジャンニ・フランチョリーニ 1955年
二人の女 ヴィットリオ・デ・シーカ 1960年
狂った情事(?) マウロ・ボロニー二 1960年
アゴスティーノ マウロ・ボロニー二 1962年
軽蔑 ジャン=リュック・ゴダール 1963年
禁じられた抱擁(倦怠) ダミアーノ・ダミアーニ 1963年
Gli indifferenti (無関心な人々) フランチェスコ・マゼッリ 1964年
暗殺の森(孤独な青年) ベルナルド・ベルトルッチ 1970年
痴情の森(?) ダミアーノ・ダミアーニ 1971年
デシデーリア=欲望(深層生活) ジャンニ・バルッチェローニ 1980年
蒼い本能(?) アルド・ラド 1981年
鏡の向こう側(関心) ジョヴァンニ・ソルダーチ 1987年
ベルト ジュリアーナ・ガンバ 1988年
二人の女 ディノ・リージ 1989年
金曜日の別荘で マウロ・ボロニー二 1991年
倦怠 セドリック・カーン 1998年