ナチュラル・ウーマン(セバスティアン・レリオ監督作品) | 人力飛行少年の肉体を脱ぎ捨てたなら

人力飛行少年の肉体を脱ぎ捨てたなら

ネットの海を漂う吟遊詩人になって
見知らぬあなたに愛を吟じよう

監督・脚本 セバスティアン・レリオ

脚本 ゴンサロ・マサ

撮影 ベンジャミン・エチャザーレータ

編集 ソルダッド・サルファテ

出演 ダニエラ・ベガ、フランシスコ・レジェス、ルイス・ニェッコ

2017年度 製作国 チリ/ドイツ/スペイン/アメリカ 上映時間 1時間44分

 

トランスジェンダー女性を扱った映画は、「ヘドウィク・アンド・アングリーインチ」

「ダラス・バイヤーズ・クラブ」「リリーのすべて」等が思い浮かびますが、

どの作品も男性の役者が演じていて、内容自体もマイノリティの悲哀を内向きに

描いているので、別世界の出来事として、彼らが感じている痛みを共有できない

自分自身に苛立ちを覚えてしまうことがあるのですが、本作は、トランスジェンダーの

女優でオペラ歌手のダニエラ・ベガが、主人公のナイトクラブで歌うジェンダー歌姫の

役を演じているので感情移入しやすく、内容も世間から強い風当たりに遇おうとも、

強い意志で力強く立ち向かっていくと言う人間賛歌としてのカタルシスがあります。

 

多くの観客で埋め尽くされたコンサート会場で、ヘンデルが作曲したオペラの中の一曲で、

「ラルゴ」の愛称でも知られている名曲「オンブラ・マイ・フ」を歌うラストシーンの

マリーナは、マリーナではなくダニエル・ベガ自身で、そのリアル感によって、

誰もがマリーナを身近な存在として、抱きしめずにはいられなくなると思います。

 

 

私の愛するプラナタスの樹の

優しく美しい葉よ

運命がお前の上に輝くように

雷鳴、雷、嵐が

決してお前の大切な安らぎを妨げぬように

そしてお前が吹きすさぶ風に汚されぬように

 

これほど愛しく、優しく

心地よい木陰はかつてなかった

 

参照:歌詞日本語訳「言葉と音楽の錦繍」

 

 

 

 

 

 

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