今最も旬な女優 アニャ・テイラー=ジョイ | 人力飛行少年の肉体を脱ぎ捨てたなら

人力飛行少年の肉体を脱ぎ捨てたなら

ネットの海を漂う吟遊詩人になって
見知らぬあなたに愛を吟じよう

 

「ラストナイト・イン・ソーホー」でその美貌に魅せられ、

「クイーンズ・キャビネット」でファンになったアニャ・テイラー=ジョイが、

「マッドマックス 怒りのデスロード」で、シャーリーズ・セロンが演じたフェリオサの

前日譚を描いた新作「マッドマックス:フェリオサ」の主役に抜擢されました。

「ウィッチ」や「スプリット」等多数のホラー映画に出演して、

絶叫クイーンと呼ばれるアニャですが、どちらかと言えば寡黙で陰に籠った役柄が多くて、

その心を射抜くような大きくて妖艶な目で演技ができる、クローズアップに耐えられる

数少ない女優のひとりです。

ファンになってから、アニヤが出演した作品を、過去に遡って追いかけていますが、

容姿が変化していく様を明確に確認できる点で、初期から成長を辿るよりも、

新鮮な驚きを受けました。

 

「ウィッチ」 2015年

娘が悪魔ではないかと疑い始めた敬虔なクリスチャン一家が、やがて互いを罵り合い、

絆が崩壊していく様を、人間の原罪を通して描いたアンチクライスト映画ですが、

不可思議な出来事をもたらしている正体を明かさずに、超自然的な事象として、

最後まであやふやにして描いた方が心理的な怖さが増幅されて、観終わった後に、

虚無感に支配されていたと思います。

アニャ・テイラー=ジョイは、主役の悪魔に取りつかれていると家族から疑われる長女を

演じていますが、当時18歳と少女と大人の過渡期にある不安定さが、役柄に生かされて

いました。

 

「スプリット」 2017年

「群れ」の蔑称を持つ多重人格者の男に拉致監禁された女子高生の恐怖を描いた

サイコスリラー。

アニャは、24番目の人格であるビーストに変貌した男と、最後まで傷だらけになりながら

戦う女子高生を好演して、絶叫クイーンの称号を得ましたが、24人の人格を演じ分けた

ジェームズ・マカヴォイの演技が凄すぎて、アニャが怪物と対峙する女子高生を演じていた

ことを、「ラストナイト・イン・ソーホー」を観るまで気付きませんでした。

 

「ミスター・ガラス」 2019年

「アンブレイカブル」のデヴィッド・ダン、イライジャ・プライス、「スプリット」の

ケビン・ウェンデル・クラム3人の超人が再び登場する完結編で、コミックの世界は

現実の生き写しで、スーパーヒーローはファンタジーではなくリアルな存在であると言う、

化学至上主義を批判した、風変りなファンタジー映画。

アニャは、「スプリット」と同じ役で出演していますが、出番が少なくて、役者としての

見せ場はありませんでした。

 

「クイーンズ・キャビネット」 2020年

チェスの天才少女の成長を描いた7話完結のNetflixオリジナルドラマ。

「ラストナイト・イン・ソーホー」よりも前に作られた作品ですが、鑑賞したのは

後になります。

強い相手に挑んでいく過程がロールプレイングゲームを見ているような面白さで、

チェスを知らなくても楽しめる工夫と、あどけない少女が人生の荒波にもまれながら

苦闘する姿を演じたアニャの美しさが色を添えた作品で、その演技が評価されて、

第78回ゴールデングローブ賞テレビドラマ演技賞(ミニシリーズ・テレビ映画部門)の

主演女優賞を受賞しました。

 

「エマ」 2020年

原作は「高慢と偏見」のジェイン・オースティンで、

1996年にグウィネス・パルトロー主演で一度映画化されています。

過去の陰に籠った役柄と違って、明るくて奔放な、世間知らずなお嬢様エマを

完璧に演じて、初めて喜劇と言う分野で新境地を開拓しています。

第78回ゴールデングローブ賞映画演技賞(ミュージカル・コメディ部門)

主演女優賞ノミネート。

 

「ラストナイト・イン・ソーホー」 2021年

アニャに一目惚れした作品。

幻覚の中で揺蕩う妖艶な美しさは、サイケデリックな映像美に見事に溶け込んでいます。

 

「ノースマン 導かれし復讐者」2022年

アニャの出世作「ウィッチ」のロバート・エガース監督作品。

シェイクスピアの「ハムレット」のモデルとされているスカンジナビアの

アムレート(ヴァイキング王ホルヴェンディルの息子)伝説を題材にした復讐劇。

歴史映画によくある合戦をメインにしたリアルな活劇とは違って、北欧神話や

シャーマニズムと言った超自然的な世界観の中で、人間のドロドロした獣性が

幻想的に描かれていて、後半からの役者たちの火花を散らすダイアローグで、

愛憎劇としての面白さも加味されています。

アニャ・テイラー=ジョイは今回は脇を固める役でしたが、その美しき裸体を

惜しげもなく披露して、女優魂を見せてくれています。

 

「マッドマックス:フェリオサ」 2024年

ジェニファー・ローレンス、スカーレット・ヨハンソン、アンジェリーナ・ジョリー 等

アクション映画は名女優になるための登竜門。

名匠ジョージ・ミラーの名作シリーズに抜擢されて、新たな1ページに名を連ねること

でしょう。

 

 

全般ランキング
全般ランキング