唐十郎
劇作家、演出家、俳優
唐十郎の原風景で、芝居のモチーフにもなっている戦後の焼け跡。
家族は飢えに苦しみ、弟を栄養失調で亡くしたにも係わらず、
あの悲惨な時代に彼の発想の原点があるのは、
危機感のない時代にはニヒリズムが生まれるが、
カオスの時代にはリリシズムが生まれるからだと、私は思っています。
私が若い頃に、唐十郎がパーソナリティーを務めたラジオ番組「オールナイトニッポン」で、
その体験を表現した言葉が今でも記憶に留まっていて、
私の座右の銘になっています。
「荒んでいたけど、街にはメロディーが流れていた」
「飢えなきゃ美味いものが分からないし、
汚濁に塗れなきゃ美しいものが分からない」