奴隷制度、男女差別、同性婚、移民問題と、アメリカン・ドリームの原点である※合衆国憲法
修正第14条を巡って命懸けで闘った人々の、自由と平等を勝ち取るためのアメリカ150年の
歩みを、映画俳優のウイル・スミスが進行役となって振り返る6部構成のNetflix オリジナル
ドキュメンタリー。
エピソード1「市民」、エピソード2「抵抗運動」、エピソード3「我慢」の3部に亘って
扱われた黒人の人種差別との闘いでは、奴隷制度、ジム・クロウ法(アメリカ南部における、州・郡・市町村レベルでの人種隔離をする規則と条例)、南部での黒人に対するリンチ犯罪、
公民権運動等を捉えた映像や証言を通して、アメリカ史の汚点が再確認されますが、現在でも、トランプ元大統領による言動によって、白人至上主義者が勢いを取り戻しているように、
終結したはずの南北戦争が未だに続いていることは周知の事実です。
白人至上主義の秘密結社KKKが、映画史上の名作と評価されている「国民の創生」で悪の黒人を
倒すヒーローとして描かれて、組織としての地位を確立出来たことは知られていますが、
本作では他にも、リンカーンまでの大統領は、全員が奴隷所有者であったこと、リンカーンは
奴隷解放に尽力を注いだが、最初は白人と黒人を同居させることには懐疑的で、黒人を海外へ
移住させる計画を立てていたこと、黒人からの支持を得て大統領になったケネディだが、
当初はジョセフ・クラーク民主党上院議員が提案した公民権法案には消極的だった等
興味深い話も数多く盛り込まれていますが、虐げられた側からの視点で、感情的に描いている点がマイナスポイントで、差別する側が、何故そのような偏見を持つようになったかの社会的背景も描く必要があると思いました。
私もマスコミの間違った報道やSNSのフェイクニュースを信じて、知らず知らずに差別する側に
立っている可能性もあるわけで、勧善懲悪で事の本質を捉える事の危険性を常に意識して、
感情に流されずに冷静な言動をする事が、憎しみの連鎖を断ち切ることに繋がるのでは
ないでしょうか。
※ 合衆国憲法修正第14条第1節
アメリカ合衆国で生まれ、あるいは帰化した者、およびその司法権に属することになった者
全ては、アメリカ合衆国の市民であり、その住む州の市民である。如何なる州もアメリカ合衆国の市民の特権あるいは免除権を制限する法を作り、あるいは強制してはならない。
また、如何なる州も法の適正手続き無しに個人の生命、自由あるいは財産を奪ってはならない。
さらに、その司法権の範囲で個人に対する法の平等保護を否定してはならない。
出典:Wikipedia