映画の名台詞 「魂のゆくえ」 | 人力飛行少年の肉体を脱ぎ捨てたなら

人力飛行少年の肉体を脱ぎ捨てたなら

ネットの海を漂う吟遊詩人になって
見知らぬあなたに愛を吟じよう

「タクシー・ドライバー」「レイジング・ブル」の脚本で知られるポール・シュレイダーは、

映画評論家時代に「聖なる映画―小津/ ブレッソン/ドライヤー」を出版するほど

スピリチュアル映画を敬愛していましたが、カール・ドライヤーの「奇跡」やロベール・ブレッソンの

「田舎司祭の日記」に対するオマージュに「タクシードライバー」の暴力的要素を融合させて、

映画人生の集大成として完成させたスピリチュアル映画が本作です。

 

従軍牧師として入隊を進めた息子を戦死させた罪悪感と胃がんに侵されて、

自らも闇を抱えている主人公の牧師が、環境破壊が進む地球の未来を憂う若者の悩みに

対して、

「勇気が絶望を和らげてくれる。理性は何の助けにもならない。

未来の事は分からないが、それでも選ばねばならないんです。

知恵は絶えず二つの矛盾したものを頭の中に生み出す。

希望と絶望。絶望がなければ希望もない。

どちらの気持ちも抱えて生きるのが人生なんです。」と答えますが、

その後、若者は牧師宛に遺書を残して自殺してしまいます。

牧師も本音は、

「何も変えられず、希望が無いことを私は知っている。トマス・マートンの言葉だ。

絶望はプライドの高さから生まれる。神が私たちより創造的であることを認めず、 

己の考えに縛られるからだ」と思っているのですが、若者を刺激しないために

自らを偽っていたのでした。

 

神父は若者が計画していた企業に対する自爆テロの意志を引き継ぎ、

行動を起こすことを決意します。

その前夜に環境汚染地域を訪れて、独白する場面より。

 

守ることは作ることだ。古いものが新たな物を生む。人はそうやって創造に関わる。

 

 

 

 

 

 


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