韓国映画「パラサイト」がアカデミー賞の最優秀作品賞を受賞しました。
すでに世界的な評価を得ていた作品ですが、非英語圏作品なので、受賞できても
監督賞止まりだろうと予想していたので、良い意味で最大のサプライズでした。
※386世代のポン・ジュノ監督は、「殺人の追憶」「グエムル~漢江の怪物」「母なる証明」等
世相風刺をエンタメのオブラードに包んで、老若男女誰もが楽しめる作品を撮れる稀有な
監督で、観客だけでなく批評家からも評価されているのはそのためです。
「母なる証明」後ハリウッドに招かれて2本の作品を作りますが、本領を発揮できず、
10年ぶりに本国に帰って再び歴史に残る傑作が生まれたことで、韓国映画界にとっては
失われた10年だったわけですが、ハリウッドでの活動がなければ、受賞に繋がらなかったと
思います。
日本とライバル関係にある韓国の映画が受賞したことで、今の日本映画に対する風当たりが
強くなっていますが、日本映画の凋落は昨日今日に始まったわけでなく、テレビ局が映画製作に
参入して力を強め、TV放送を前提にした無難で一般受けする映画しか作らなくなり、次の
映画界を担う人材を育てる機運が無くなってしまった事と、自己表現できるコンテンツが増えて、
才能ある若者も集まらなくなった事が原因にあげられます。
また国の文化に対する民度の差もあって、作る側観る側共に本物を育てようとする環境が
なければ、ポン・ジュノのような才能は日本で生まれることはないでしょう。
※ 386世代とは
韓国における特定の世代を指す用語。広義的には1990年代に30代で、1980年代の民主化運動
に関わった1960年代生まれの者を指している。
進歩主義、経済利益の再分配を重視する人が多数派を占めている。そのため積極的に
民主化運動に係わってきた人が多く、民主化運動の闘士出身で国家安全法違反での服役
経歴を売り物にする者も多い。
元々、彼等が学生時代を過ごした時期は1980年代の光州事件を起点とした民主化運動の流れに
入った時期と合致する。1987年6月29日に当時の大統領候補だった盧 武鉉の民主化運動
(六・二九民主化宣言)も直前に学生達が中心となって発生した6月民衆抗争が宣言発効の
契機となった。
出典:Wikipedia