バーニング劇場版 イ・チャンドン監督作品 | 人力飛行少年の肉体を脱ぎ捨てたなら

人力飛行少年の肉体を脱ぎ捨てたなら

ネットの海を漂う吟遊詩人になって
見知らぬあなたに愛を吟じよう

監督・脚本 イ。チャンドン

脚本 オ・チョンミ

原作 村上春樹

撮影 ホン・クンピョ

音楽 モグ

出演 ユ・アイン、スティーブン・ユアン、チョン・ジョンソ

2018年度 製作国 韓国  上映時間 2時間28分

 

「そこに蜜柑があると思い込むんじゃなくて、そこに蜜柑がないことを忘れればいいのよ。」

「僕はモラリティーというのはいうなれば同時存在のかねあいのことじゃないかと思うんです。

つまり僕がここにいて、僕があそこにいる。」

村上春樹得意のパラレルワールドが展開する20ページ足らずの短編「納屋を焼く」を、韓国の

名匠イ・チャンドンが拡大解釈して映画化した2時間半の長編は、小説家志望の貧しい青年、

青年の前から忽然と姿を消すガールフレンド、納屋を焼くことを趣味にしている男の奇妙な

関係を通して、目に見えるものと目に見えないものとの境界線で綱渡りしている危うさを、

韓国の現実と重ね合わせて描いた作品です。

読む人によっては、どのようにでも解釈できる原作を、グレートハンガー(なぜ生きるのか、

人生の意味は何なのかを知ろうとする人)という新たなキーワードを加えることで、

監督のメッセージは明確になっていますが、小説で描かれていない部分がリアリティーすぎて、

村上春樹の世界観とは大きくかけ離れたラストシーンは賛否の分かれるところです。

製作会社に名を連ねるNHKで先行放映された本作は、劇場版よりも53分も短い95分だ

そうですが、どの部分をカット出来たのか想像の範疇を越えていて、私にはこちらの方が、

映画の内容以上にミステリーです。

果てしない砂漠の地平線に日が沈んだの

最初はオレンジ色で

次は血みたいな赤い色

そして紫色や紺色になったけど

だんだん暗くなって夕日が消えたら

急に涙がどっと出てきた

世界の果てに来たんだ

そんなふうに思って

夕日みたいに消えたくなった

死ぬのはすごく怖いし

最初からいなかったみたいに消えたい

 

ガールフレンドの台詞を字幕版より抜粋

 

 

 

 

 

 


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