博士と彼女のセオリー | 人力飛行少年の肉体を脱ぎ捨てたなら

人力飛行少年の肉体を脱ぎ捨てたなら

ネットの海を漂う吟遊詩人になって
見知らぬあなたに愛を吟じよう

 
監督 ジェームズ・マーシュ
脚本 アンソニー・マッカーテン
原作 ジェーン・ホーキング
音楽 ヨハン・ヨハンソン
撮影 ブノワ・ドゥローム
編集 ジンクス・ゴッドフリー
出演 エディ・レッドメイン、フェリシティ・ジョーンズ、エミリー・ワトソン
2014年 イギリス/アメリカ

車椅子の科学者として知られているイギリスの理論物理学者スティーヴン・ホーキングの
半生を描いた作品ですが、学生の頃に難病のALS(筋萎縮性側索硬化症)を発症して、
余命2年と宣告(50年以上経った現在でも第一線で活躍中)されてからも、数多くの論文を
発表して世界的名声を得るまでの偉業を称えた偉人伝としてではなく、最初の妻
ジェーン・ワイルドとの結婚生活をメインにしたラブストーリーに仕上がっているのは、
本作がシェーンの執筆した本を原作にしているからです。
最初のクライマックスは、博士の介護や子育てで精神的に追い詰められていたジェーンが、
母親の勧めで教会の聖歌隊に入り、そこで知り合った指導者を子供のピアノ教師として
家庭に招くと、教師は子供に懐かれ、ジェーンの補助で介護を手伝っているうちに博士とも
良好な関係を築いて行きますが、いつしかジェーンとの間に愛が芽生えてしまうという
エピソードで、本来なら三角関係のドロドロした愛憎劇になるところを、憎の部分を
オブラードに包んで自分自身を美化してしまっているように、やはり当事者が原作では、
どうしても客観的な視点に欠ける嫌いがあります。
他にも、博士を虐待したとして警察沙汰になった看護師(のちに二人目の妻になるが
10年後に離婚)のゴシップにも触れられておらず、修羅場が全く描かれることのない
御伽話のような美談に納まってしまっているのが、実名で登場する人物達が、
現在も在命していることからの配慮だとしたら残念です。

 

博士は難病を発生してから3人の子供を授かっていますが、手足どころか呼吸を司る
筋肉も動かすことが出来ない状態で、性器は反応していたという事ですから、
生存本能だけは脳でコントロールされないようにできているのかもしれませんね。


博士と彼女のセオリー [Blu-ray]/エディ・レッドメイン,フェリシティ・ジョーンズ,チャーリー・コックス
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