監督・脚本 フレデリック・バック
原作 ジャン・ジオン
撮影 クロード・ラビエール、ジャン・ロビヤール
音楽 ノーマン・ロジェ
1987年 カナダ
ひとり黙々と荒れ果てた大地に木を植え続ける初老の羊飼い。
一人息子と妻を相次いで亡くして、悲しみから逃れるために、
人里離れた廃墟にやってきた彼は、残りの人生をかけて
滅びかけた地を豊穣の地に蘇らせようと決心したのです。
情熱を勝利させるための絶望との戦い。
ひとりの男の不屈の精神を通して、人間は破壊以外の領域でも、
神と同じほど有能であることをメッセージにした本作は、
東日本大震災で絶望の淵に立たされた日本人が、
今、最も観るべき映画と言えるでしょう。
デッサンをそのままアニメーションの世界に取り入れた本作は、
CGアニメでは表現できない手書きの温かみがあり、
環境破壊や原発に異を唱えて、自然と人間との共存を訴える作者の、
心の思いを見るようです。
本作は、7月に発売された、フレデリック・バックの九つの短編アニメを
集めた“木を植えた男/フレデリック・バック作品集”に収められていて、
特典として、フランス語、英語、日本語の音声ナレーションで視聴することが
できますが、フランス語版のナレーションをフィリップ・ノワレ、英語版の
ナレーションをクリストファー・プラマー、日本語版のナレーションを
三國連太郎が担当していて、名優たちの味わい深いナレーションを
聞き比べてみる楽しみも用意されています。
「問題に直面すると逃げる人もいます。
その一方で、問題に取り組み解決を図る人もいる。
問題に取り組む精神こそが、
豊かな果実をもたらすものなのです。
そうした精神が、異なる者同士の紛争を解決し、
よりよい世界を作るのです。」
フレデリック・バック
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