さすらい | 人力飛行少年の肉体を脱ぎ捨てたなら

人力飛行少年の肉体を脱ぎ捨てたなら

ネットの海を漂う吟遊詩人になって
見知らぬあなたに愛を吟じよう


人力飛行少年の肉体を脱ぎ捨てたなら


監督・脚本 ミケランジェロ・アントニオーニ

撮影 ジャンニ・ディ・ヴェナンツォ

脚本 エンニオ・デ・コンチーニ、エリオ・バルトリーニ

音楽 ジョヴァンニ・フスコ

1957年 イタリア


イタリアの巨匠ミケランジェロ・アントニオーニが、

愛の不毛を描いた三部作『情事』『夜』『太陽はひとりぼっち』の

前に作った原点になる作品で、アントニオーニ自身の分身である、

愛を失った男の孤独と魂の彷徨を、故郷北イタリアのポー河流域の

荒涼とした風景の中で描いたロードムービーです。

行く先々で出会う女性との関係の中で、

愛を満たしきれずに、ますます自己嫌悪に陥っていく主人公の、

声に出せない心のうちにある叫び声を、不条理として見せた

アントニオーニの手法は見事で、後にヌーベルバーグの

旗手ゴダールにも影響を与えました。

大地の上に佇む男女の姿を遠景で撮った映像は、

100の言葉を持ってしても表現しきれないぐらい、

饒舌に見る者に語りかけてきます。

アントニオーニは、数少ない真の映画作家と言えるでしょう。


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