監督 ジョン・セイルズ
主演 ジョー・モートン
1984年 アメリカ
宇宙船の故障で、地球に不時着した黒人そっくりの異星人と、
ニューヨークのハーレムに住む人々の交流を描いた
心優しい映画です。
『フレンチ・コネクション』のポパイが追い掛け回し、
『タクシードライバー』のトラヴィスが憎悪する
ニューヨークの低下層で生きる人々に焦点をあてた
ジョン・セイルズ監督のまなざしは暖かく、
裏町の中にこそ人間の真の営みがあることを描写して、
監督のニューヨークに対する愛情が伝わってくる映画です。
異星人と地球人が、言葉を交わさなくても心を通わせる姿に
レイシズムの問題をさりげなく見せて、
汚い物に蓋をする排他的な社会に洗脳されている現代人に
自戒を促していますが、ゆるやかな語り口と異星人を演じた
ジョー・モートンの飄々とした演技に癒されて、
インディーズ映画にありがちなストレスを、
感じさせない娯楽映画に仕上がっています。
(2009年6月7日)