青いパパイヤの香り | 人力飛行少年の肉体を脱ぎ捨てたなら

人力飛行少年の肉体を脱ぎ捨てたなら

ネットの海を漂う吟遊詩人になって
見知らぬあなたに愛を吟じよう

監督 トラン・アン・ユン

出演 トラン・ヌー・イェン・ケー,リュ・マン・サン

1993年 フランス/ベトナム


飛行少年の肉体を脱ぎ捨てたなら

















サイゴンに住むある一家に、
女中奉公に来た少女ムイの成長を描いた
フランス在住のベトナム人監督が作った映画だが、
「おしん」のような苦労談ではない。
ATG映画の趣があるが、陰湿さが無い。
エロティシズムの香りが漂うが卑猥さが無い。
台詞が少なく、自然の静寂と共鳴するかの如く
ゆっくりと流れる時間を映し出した映像は、
疲れた心を癒し、郷愁へと誘う。

主人公のムイは、劇中で次のように表現される。

『調和ある水の戯れのきらめく美しさ。
日陰に一本の桜の木。
やがて成長して満開の花盛り。
水の旋律に共鳴して見事に咲き誇る。
たとえ水がうねり逆巻いても桜の木は凛と佇む。』

フェミニズム発祥の国フランスの製作だけあって、
アジアのエキゾチシズムに対する憧憬と相俟って、
神々しいまでに凛凛しいムイという女性を
創造したと言えるのではないだろうか。


(2008年7月16日)


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