組み上がったら汚し塗装をしていきましょう。
一般的にはこんな手法があるようです。
- ウォッシング
- チッピング
- ドライブラシ
でも、これを全部やるのはとても大変。
特に塗装が剥がれた部分を再現するための「チッピング」なんかは
- 下地塗装
- ヘアースプレー塗装
- 表面塗装
- チッピング処理
- つや消し塗装
といった工程が必要なので、相当な覚悟がないと手を出すことができません。
なので、今回はこんな手順で進めたいと思います。
- ダメージ加工
- ウェザリングカラーで汚し塗装
- 部分塗装
- ハイライト処理
まずは、ダメージ加工。
プラモデル業界でダメージ加工なんて言葉は使わないかもしれませんが、これは文字通り「プラモデルに傷をつける」ことです。
傷が深ければ、塗装が剥がれて下地の金属が見えている状態を表現するための「チッピング」に代わる手法となりますし、傷が浅ければ汚れを表現できます。
具体的なやり方はこんな感じ。
パーツのエッジなど、傷をつけたい部分に棒ヤスリを叩きつけます。
ヤスリでこするのでは無くて、棒ヤスリの重さを利用してプラスチックの表面を叩いて、擦れたような傷を付けていきます。
コツは「傷のつく方向を考える」こと。
足のパーツは実際にモビルスーツが動いたら、エッジ部分から上下に向かって擦れる可能性が高いと想像しながら、傷を入れていきます。
スネの部分など、擦れた感じを出したい場合は、パーツの上下を逆さまにして、重力を利用して棒ヤスリを上から下に叩きつけるようにします。
上の写真のようにするには、叩きつける場所をズラしながらダメージ部分を広げていきます。
ダメージ加工した部分の仕上がりが想像しにくい場合は、先にウェザリングカラーを塗ってからダメージ加工をすると、ヤスリで叩いた部分の塗料が剥がれるので、仕上がりがイメージしやすいかもしれません。
このようにダメージ加工が済んだら、ウェザリングカラーを綿棒で塗ります。
ムラができても構わないのですが、塗り残しが無いように気をつけましょう。
そして、膝とスネの接合部分や溝などは影を残したいので、多めに塗りつけましょう。
表面が乾いたらティッシュで上から下に向かって拭い取ります。
汚れは主に雨に流された土埃や油なので、重力方向に流れることをイメージして拭き取りましょう。
これはウェザリングカラーを拭き取った直後です。
ダメージ加工をやりすぎたせいで、傷が深くなり、仕上がりが汚くなってしまいました。
色を薄くしたい部分をメラミンスポンジでこすると、汚れが薄くなります。
専用の薄め液で拭い取っても良いのですが、こっちの方が簡単です。
ちなみに、汚れ塗装の完成イメージが湧かない場合は、実際の汚れを参考にすると良いかと思います。
身近なものでは自動車や家の外壁など、風雨にさらされているものが参考になると思います。
ですが、一番参考になるのはズバリ「重機」です。
重機は雨染みや塗装の剥がれ、錆など汚れ塗装の見本のようなものです。
ネットでも簡単に写真が見つかるので、参考にしてみましょう。
部分塗装ですが、これは好みの問題なので省いても構いません。
今回のゴッグは足首部分が色分けされていないので、黒鉄色で塗装をすることにします。
こんな感じで綿棒で雑に塗って構いません。
一回では塗料が乗らないので、薄めにさっと塗りましょう。
表面が乾燥したら重ね塗りをすると綺麗に仕上がります。
ここまでの作業で、このような仕上がりになります。
結構良い感じになってはいるのですが、なんと無く物足りないと感じる方は、次の工程に進みましょう。
最後はハイライト処理です。
本来はドライブラシなどの手法を用いるところですが、ここではお手軽にできる方法を紹介します。
用意するのは100均で売っている「アイシャドー」と綿棒だけ。
綿棒にアイシャドーをつけて、エッジ部分に乗せていきます。
上の写真の左側では、グレー部分の上下と角部分を中心にアイシャドーを乗せ、表面はうっすらとアイシャドーをまぶした後、綿棒で軽くならしてあります。
肩は下から上に向かって傷の中にアイシャドーを乗せています。
(後ろは未処理)
アイシャドーは乗せているだけなので、触ると落ちてしまいます。
出来上がった後は触らないようにしましょう。
定着させたいなら、トップコートを吹かないとダメらしいです。
そして、完成したのがこれ。
やりすぎ感は否めないものの、これくらいなら自分的には満足の出来栄えです。
ちなみに、組み立てにかかった時間が3時間。
ダメージ加工と塗装にかかった時間が3時間ほどでした。
昔に比べると格段に簡単になりましたね。
だって、発売当初はこんなんだったんですよ。
驚きの単色!
これを塗装するには、こんな手順が必要でした。
- マスキング
- 調色(複数の塗料を組み合わせて色を調合)
- 筆塗り
- ドライブラシ
これを、モノアイの黒部分、モノアイ、腰、ビーム、膝、足の回数分繰り返していたのです。
ゴッグだからこれだけの手順で済みますが、ガンダムなんかは細かい部分塗装が多くて、本当に気の遠くなるような作業でした。
これは技術の進歩とメーカーの努力の賜物ですね。